参考写真 県立病院の改革が現在進行中です。平成18年度から県立の3病院(中央病院、友部病院、こども病院)に公営企業法を「全部適用」し、病院局を設置、病院事業管理者に医学博士の古田直樹氏を迎えて、県立病院の経営の立て直しと政策医療の充実を図ってきました。
 特に、県立中央病院は、永井秀雄院長が19年度就任し、救急医療体制の確立を図っています。
 平成18年度に2493件であった救急患者は、19年度に3344件に達し、今年度は11月末で既に2549件に上っています。このままでは、4000件を越えることも予想されます。
 県立中央病院の救急センターは片田正一センター長以下、4人の当直医師で運営されていますが、専任の医師は片田先生の一人のみ。すでに受け入れは限界に達しています。
 県立中央病院が位置する県央医療圏では、大規模病院が数多くありますが、救急医療の輪番制などが機能しておらず、水戸市内からの救急車も数多く受け入れています。また、北関東道が県内区間が全通し、筑西市や結城市など県西部からも救急患者が搬送されてくるようになりました。
 こうした状況を重視し、井手よしひろ県議ら公明党県議団は、県立中央病院の救急医療充実のために、施設の拡充と医師の確保を強く求めています。さらにその財源を、原子力安全等推進基金(ウラン交付金)に求めることを具体的に提案しています。
参考写真
最後の受け皿限界 「急患断らず」の県立中央病院
茨城新聞(2008/12/29)
年末年始の「殺到」危惧
 県立中央病院(笠間市鯉淵、永井秀雄院長)で救急搬送受け入れが急増している。永井院長が就任した昨年度から「政策医療」として急患を断らない方針を掲げた結果、昨年度の受け入れは過去最多の三千三百四十四件に達した。本年度は十一月までに二千五百四十九件に上り、このまま推移すると年度末に四千件を超すペースとなっている。県病院局は「受け入れは限界に近い」と現状を分析。例年よりやや長い九連休の年末年始を迎え、休日体制の同病院に急患が殺到しないか気をもんでいる。
 二十七日の救急処置室。午前中だけで二十人の患者が訪れ、このうち三人は救急搬送だった。電話の着信音が鳴り響き、「こちらで受けます」と医師。午後に入ると立て続けに救急車が到着し、二つある処置室が埋まり一気に慌ただしさが増した。
 この日は救急センター長の医師、片田正一さんが四人の当直医師と連携しながら診察。病院は年末年始の患者増加を見越し、看護師、技師に加え事務職員も通常より増やして対応に当たる。
 飲酒後に意識を一時失った女性がベッドに移される。医師が「大丈夫ですか?」と声を掛ける間に、電動のこぎりで親指を切断した男性が救急車で運び込まれた。「先生を呼んでください」と、自宅にいる整形外科医が呼び出される。
 重症患者を診察する間隙(かんげき)を縫うように、風邪など外来患者の応対も続く。犬の散歩中に転倒し頭部裂傷を負った水戸市の女性(64)は「ほかの病院が休みなので本当に助かった」と、安どの表情を浮かべた。
 同病院の救急専門医は片田さんただ一人。「救急医が何人かいれば、何とかなるが、今は当直の先生やスタッフにひたすら協力をお願いしている」と片田さん。当直医は「年末年始は海外ですかと聞かれたが、半分は出勤ですよ」と苦笑い。片田さん自身は年末年始に休みなしで出勤する予定だ。
 県病院局によると、同病院の救急搬送件数は二〇〇六年度に二千四百九十三件だったが、〇七年度は前年より九百件近く増加。本年度は十一月の段階で前年同期より五百件以上増え、すでに〇六年度一年間の実績を超えた。
 同病院は入院が必要な患者を受け入れる「二次救急」を担う。だが一次救急(軽症)患者の受け入れ先が減る夜間や休日、年末年始は、猫の手も借りたいほどの忙しさ。限られたスタッフで体制を維持するが、「疲弊は著しく、対応スペースも限界に達している」(県病院局)のが現状だ。筑西市内からの患者が増えるなど最近は搬送元も広域化している。
 患者があふれると別の医療機関に回すこともあるが、「うちで診てほしいという患者さんを診ないわけにはいかないし、結局どこかがやらなければならない」と片田さん。公立病院として急患の“最後の受け皿”となっている。県病院局は「せめて緊急性の低い患者の『コンビニ受診』は極力控えてほしい」と病院スタッフの気持ちを代弁する。