朝日・共同通信・TBSなどの「盗撮」との見出しは事実を曲解させる
 定額給付金を含む国の第2次補正予算案が衆院を通過した1月13日、国会の与野党の攻防が山場を迎えました。
 衆院予算委員会では、与野党の申し合わせを破り民主党議員がプラカードを持ち出し、採決に抗議をするというパフォーマンス。それに対して自民党幹部が国会の慣例に反して、委員長に許可無く写真撮影を行うなど、大混乱となりました。
参考写真 委員会の開会前から民主党は若手議員を待機させ、採決の際には委員会室に数十人が駆けつけて「定額給付金ダメ」などと書かれたプラカードを掲げて、強く抗議しました。こうしたプラカードを掲げるパフォーマンスは、昨年4月のガソリン税の暫定税率復活の再可決の際の混乱から、与野党で使用しないことを申し合わせていました。これを反古にしたことになります。
 これに対して、自民党の村田吉隆国対副委員長は、プラカードを持つ民主党議員の証拠写真を撮影しようと、自らカメラを持参して委員会室に臨みました。菅直人民主党副代表がこれをめざとく見つけ、脱兎のごとく走り寄りカメラを取り上げるという椿事が発生しました。国会の慣例では撮影は委員長の許可が必要。村田氏が無許可だったことから民主党が強く反発、衛藤委員長は村田議員のカメラを没収しました。
 こうした混乱のため予算委採決は約1時間遅れました。
朝日新聞インターネット版(2009年1月13日19時53分) ただこの騒動の報道に対して、朝日新聞や共同通信・TBSテレビなどの報道に、事実を曲解させる見出しが付いたことに、大きな違和感を感じました。
朝日新聞はインターネット版の記事で「自民・村田氏、国会で『盗撮』騒動 衆院予算委」と見出しを打って報道。また共同通信は「民主党、村田氏に盗撮で懲罰動議 予算委を無許可撮影」と配信。同じくTBSも「自民・村田議員、予算委で『盗撮』騒動」と掲載しました。
 「盗撮」という言葉は、明らかに意図的に読者の関心を引くため言葉であり、この場合、見出しの表現には適さないと思います。また、朝日の記事にも、TBSの報道にも、約束事を破った民主党議員の暴挙を記録するためという、写真撮影の目的が一行も記載されていません。その意味では、明らかに一方的な報道となっています。
 マスコミ報道にとって「見出し」は非常に重要な重みを持つといわれます。しかし、その見出しで、事実を曲げて伝えようとするその姿勢は、マスコミ人として恥じべき行為だと言わざるを得ません。