速やかな生活支援、経済対策の執行が国会の義務
参考写真 2008年度第2次補正予算案は、民主党など野党が予算案に対する衆参両院の議決が異なった場合に開かれる両院協議会の進め方をめぐって異例の開会引き延ばしを行い、結果的に成立が27日以降に先延ばしとなりました。
 民主党の政局優先の国会運営には呆れてものも言えません。
 1月26日の参院本会議では、2次補正の政府案から定額給付金部分を削除した野党提出の修正案が可決。その後の衆院本会議では与党の反対多数で不同意としました。通常であれば、衆参の議決が異なれば両院協議会を経て憲法60条の規定に従って衆院の議決が優先され、政府案が成立することになります。
 しかし、野党側が両院協議会の進め方について注文をつけたために、与野党の代表者による事前の協議が行われ、午後4時から予定されていた両院協議会は、26日9時過ぎまで開かれませんでした。
 野党の両院協引き延ばしは、単に予算成立を引き延ばす目的以外にありません。憲法の規定で、当然衆議院での議決が優先されるわけで、いたずらな審議引き延ばしは、国益を大きく阻害しているとしか言えません。
 民主党が反対する「定額給付金」意外にも、第2次補正予算には国民生活に直結する様々な政策が盛り込まれています。関連法案の成立も含めて、国会での審議の迅速化が強く望まれます。
関連法案が成立しないと実施できない主な施策
(1)定額給付金 (2兆395億円)
(2)介護従事者の処遇改善と人材確保 (1491億円)
(3)医療対策 (118億円)
(4)中小・小規模企業の資金繰り対策 (4905億円)
(5)高速道路料金の大幅引き下げ (5000億円)
(6)地域活性化・生活対策臨時交付金 (6000億円)
(7)緊急雇用創出事業の創設 (1500億円)

(2009/1/28更新)
 1月27日、今年度第2次補正予算は成立しました。しかし、その過程での民主党の無責任な国会対応は、厳しく批判されなくてはならないものでした。参院予算委員会での審議・採決拒否に続き、衆参の議決が異なったときに開かれる両院協議会という最終局面でも「異例の引き延ばし」(27日付「日経」)を行い、2次補正をめぐって国会は最後の最後まで混乱しました。
 2次補正は、13日に衆院を通過したものの、参院予算委員会は定額給付金に反対する民主党などの抵抗で計4日間にわたり空転。26日の参院本会議では、給付金部分を削除した野党提出の修正案を可決し、衆参で議決が異なったことから、同日午後4時から両院協を開くことになりました。
 ところが、「二次補正の成立を少しでも先送りすること」(「東京新聞」)が狙いの民主党など野党側は、自由な意見交換の部分の議事録まで残すよう唐突に言い出し、協議の“入り口”から徹底抗戦。与野党の代表者による「事前協議」が断続的に続いたため、協議会自体の開会が実に5時間もずれ込みました。
 午後9時すぎに始まった両院協では、参院側から選ばれた北澤俊美議長(民主党)が、野党の立場から発言するなど公平性と中立性を欠く議事運営を行った上、深夜に及ぶ協議が続く中で「27日午後1時から会議を続行する」と一方的に散会を宣言する暴挙に出ました。
 27日に衆参両院議長が、早期に結論を出すよう要請したことを受け、同日午後に再開された両院協議会は衆院側から選ばれた自民党の議長の下で協議を終局、2次補正は同日夕の衆院本会議でようやく成立しました。
 民主党は国民向けには「生活が第一」と叫びながら、2次補正に盛り込まれた国民が待ち望む雇用・景気対策の実行を事実上“妨害”したに等しく、こうした行動は断じて許されません。しかも、2次補正の政策実現に欠かせない関連法案も、民主党の反対で参院では審議入りすらしていない現実があります。「引き延ばし戦術に固執して経済対策全般を犠牲にする態度は改めるべき」(同「産経」)です。
【主張】2次補正予算 審議拒否は経済悪化招く
産経新聞社説(2009.1.27)
 定額給付金などを盛り込んだ第2次補正予算案の成立が27日にずれ込んだ。参院では野党の反対で否決され、両院協議会でも決着しなかったのは遺憾だ。一方、補正予算の執行に必要な関連法案は参院で審議入りしていない。審議拒否といえる。参院は必要な審議を行い、速やかに結論を出すべきである。
 2次補正の衆院通過からすでに2週間が経過し、麻生太郎首相の施政方針演説もこれからだ。経済対策は急務だと与野党が認め、通常国会を1月5日という異例の早い時期に召集した。
 関連法案の成立遅れは、給付金だけでなく中小企業の資金繰りや雇用対策など他の政策にも影響を及ぼす。民主党は2次補正の参院採決を容認した以上、引き延ばし戦術に固執して経済対策全般を犠牲にする態度は改めるべきだ。
 2次補正の関連法案には、景気・雇用対策の財源を拠出するため、財政投融資特別会計の積立金を一般会計に繰り入れる特例法案のほか、株式取得機構が銀行保有株の買い取りを再開する株式等保有制限法改正案などがある。
 これらは13日に衆院から参院に送付された。与党が関連法案を衆院で再議決するためには、参院で否決されるか、衆院送付から60日を経過して否決したとみなされなければならない。野党が引き延ばそうと思えば、関連法案の成立は3月中旬となる。
 民主党が本気でそれをねらっているなら、経済対策としての給付金の是非といった政策論でなく、政争の具にしているだけだ。
 民主党などは、2次補正から総額2兆円の定額給付金部分を削除した修正案を出した。26日の参院本会議で、この予算案の修正案を戦後初めて可決した。給付金の意義や効果に関する国民の疑問は今も根強く、修正案可決は一院が一定の結論を出したともいえる。
 しかし、衆院優越規定に基づき補正予算成立という結論が出たあとも、関連法案を人質に取り続ける対応が支持を得られるのか。
 今後の審議の中でも、効果的な経済対策のあり方を論議する時間は十分ある。派遣労働など雇用対策を中心に、党派を超えて取り組める課題も多いはずだ。
 消費税の増税時期を税制改正関連法案にどう書くかで、自民党内の激しい論争があったが、社会保障の安定財源についても審議を通じて国民に論点を示すべきだ。