参考写真 岡山の知り合いからおもしろい新聞を紹介されました。1月25日に中国東方航空機内(上海=広島)で入手した「中国巨龍」(週刊チャイニーズドラゴン)という新聞です。この新聞は、国内で8万部、中国で2万部発行されており、主に日中ビジネスに関わる日本企業、中国系企業の方を中心に購読されている中国専門の情報誌です。中国を取り巻く社会情勢から、知らないでは済まされない経済政策について、また、成長し続ける中国企業や進出目覚しい日本企業の動向、対中ビジネスに欠かせない「お得」な情報やトレンド情報など、刻々と変わり行く中国情報が、詳しく、分かりやすく報道されています。日本航空(JAL)グループの中国路線のほか、香港ドラゴン航空、中国東方航空の機内紙としても搭載されているとのことです。
 「1月25日の春節にあわせ、台湾政府が発行した『消費券』が好評であるとの記事があった。コラムが特に面白い」というので、興味津々で読ませていただきました。
 それによると、発行初日の早朝から、全国に約1万4千ヵ所設けられた「発行所」には長い列ができ、18日だけで9割以上の住民が受け取ったと報道されています。
 台湾の「消費券」については、このブログでも「台湾では「消費券」1万円分を全国民に配布」(2009/1/20)でも紹介しましたが、台北市内では馬英九総統も「発行所」に足を運び、家族全員分の「消費券」を受け取ったと報道されています。馬総統は「深刻な金融危機に直面するなか、台湾が世界で初めて『消費券』を発行する国となった。金額は多くないが、春節前に発行できたのは、いいタイミングだったといえる。消費拡大のため、是非積極的に使ってほしい」とアピールしたと伝えています。
 「消費券」発行を絶好の商機と捉え、大々的なセールを展開した百貨店、大手スーパーなどは、軒並みに売上アップを記録。消費刺激策があったと分析しています。
 また、コラム欄「漢話休題」では、消費券欲しさに、指名手配犯がノコノコ受け取りに現れ、71人が御用になるエピソードも紹介されています。
好評「消費券」と不評「給付金」:漢話休題
週刊チャイニーズドラゴン(2009/1/27・2/3合併号)
 台湾で18日、景気刺激策の一環として「消費券」が発行された。額面は3600台湾ドル。日本円に換算すると、約1万円だ。
 日本で99年に実施された「地域振興券」のようなものだが、条件付きだった日本とは違い、「消費券」は基本的に全世帯が対象となっている。国民の反応は上々で、なんと「消費券」欲しさに、指名手配犯がノコノコ受け取りに現れ、71人が御用になるという珍事も。実施早々、思わぬ「効果」が表れる結果となった。
 日本では、ご存じの通り、「定額給付金」構想が迷走を続けている。台湾では「ムダ遣い」「バラマキ」といった批判の声は少ないらしいから、麻生首相はうらやましく感じていることだろう。経済効果の有無は、すぐには分からないにせよ、日本にとって参考になる部分が少なくないように思う。
 それにしても、なぜ日本では、これほど反対の声が多いのか理解に苦しむ。所詮は選挙対策のパフォーマンスで、矛盾が多いことも承知しているが、とりあえず「貰えるものは貰っておこう」と気楽に考え、本人が必要ないと感じるのであれば、福祉施設に寄付でもすればいいではないか。
 「本音は欲しいが、たかだか1万2千円ごときで大喜びするのはみっともない」「バラマキ、効果薄という世間の論調に乗っからないと、薄っぺらな人間と思われてしまう」等々、その程度の理由で反対派に与している人が、少なからずいるような気がしてならない。生活が豊ではない記者は、堂々と「1万2千円を受け取りす」と宣言させていただく。もちろん、だからといって麻生政権を支持するかどうかは別間題である。
 閉塞(へいそく)感漂う今の時代、「消費券」につられて御用になったマヌケな指名手配犯のような単純さ、素直さが、日本を明るく元気にすると思うのだが。