県予算案1兆770億程度県税収入688億減少
読売新聞(2009/2/14)
県の新年度一般会計当初予算案が総額1兆770億円程度になることが固まった。今年度当初比で1.9%増だが、県開発公社への支援費136億円などを除いた実質規模では0.1%の減。景気の急激な悪化により、県税収入は688億円減となり、過去最大の落ち込みが見込まれている。
県税収入は、前年度比16.4%減の3520億円。特に法人2税(法人事業税、法人県民税)の減少額は573億円に達した。減収分は、8.7%増の1630億円となる地方交付税、102.4%増の臨時財政対策債660億円などでカバーする。県債の新規発行は5%増の800億円で、新年度末の県債残高は1兆7900億円に膨らむ見込み。歳出は、県職員の給与カット中止などで人件費が0.7%上昇したが、公債費を100億円程度減らすなど、義務的経費を1.6%減の4900億円に抑えた。
新規事業で目立つのは、雇用創出事業と産科の支援。雇用創出事業では、国の08年度第2次補正予算に盛り込まれた雇用,景気対策の交付金などを活用。農林業、介護福祉、伝統工芸、医師事務作業補助、耐震診断などの分野で、研修を受けながらOJT(職場内訓練)で技術を身につける「雇用・研修一体型対策」に力を注ぎ、県と市町村で2100人以上の雇用創出を目指す。
産科の支援では、院内助産所、助産師外来開設の助成費800万円を計上した。日立製作所日立総合病院などを想定、院内助産所設置に向け、施設整備を進める。また、教育関連では、小学4年生を対象に、夏休み中に、大学生などを臨時雇用して全小学校に派遣、算数を教える「学力向上サポートプラン事業」に2億6100万円を計上した。
100年に一度という世界的な経済危機の中で、県の予算編成は難航を極めました。予算規模は、一般会計で1兆770億円と前年度当初比1.9%プラスとなりましたが、債務超過に陥る県開発公社対策費136億円などを除くと前年比マイナス0.1%で、実質的には02年度から8年連続マイナスとなりました。景気悪化による県税の大幅な落ち込みを、国からの地方交付税の増加などで補った形です。
国の動きに連動し、特例交付金などの財源の裏付けのある緊急経済対策・雇用対策に重点を置いたのが特徴です。県独自の財源活用策として、非正規労働者らの正規雇用化を図る「雇用・研修一体型対策」も打ち出しました。
一方、井手よしひろ県議らが求めていた主要な要望事項も、具体的な予算措置が盛り込まれました。
まず、日製日立総合病院の産婦人科医師の確保問題では、産婦人科医師の不足をカバーするために『院内助産所』を整備するための助成費800万円が予算化される見込みです。また、県立中央病院の救急医療充実のために、原子力安全推進基金からの追加支出も決断される見込みです。さらに、決算特別委員会で整備の必要性を強調した「防災ヘリ」の整備に関する予算2億円も認められました。
今回の予算編成の中で、問題があると考えられるのは人件費の増額です。今年3月まで賃下げしていた県職員の給与を2年ぶりに戻すため、人件費は3420億円と0.7%増額されます。民間給与が低迷している中で、公務員の給与の増額は県民の理解が得られるのか疑問を感じます。