参考写真 茨城県の平成21年度当初予算には、県開発公社の支援策として136億円が計上されました。県開発公社は、2300ヘクタール以上の工業団地を分譲し340社以上の企業を、茨城県に誘致してきました。県営国民宿舎「鵜の岬」、観光施設「いこいの村涸沼」などの経営や来春開港の「茨城空港」のターミナルビルなどの運営にも当たります。
 しかし、1990年代のバブル経済崩壊後、工業団地は供給過剰となり、4つの工業団地が未着工のままとなっています。この4団地の簿価126億円(土地取得原価)は、実際の評価額が85億円に下落しており、評価損が41億円に上っています。
 公益法人制度改革により開発公社は平成21年度から低価法会計が採用され、土地の評価損が出た段階で損失処理しなければならず、41億円の評価損もこれに該当します。
 また、多額の評価損処理に加え、観光施設「いこいの村涸沼」の赤字などで、開発公社はこのままでは平成21年度に債務超過に陥ることが想定されています。2年間その状態が続けば法により開発公社の清算が求められます。そのような事態になれば、県が銀行等に損失補償している約1,3000億円の返済実行が迫られますので、現実的には破綻清算の道を選ぶことはできません。こため、当初予算案に開発公社への経営支援費17億円と無利子貸付金119億円を計上。開発公社は4団地の評価損処理や、借入金85億円の完済などに充てます。
 2月19日の記者会見で、橋本昌知事は、開発公社の支援に県費を支出することの責任を取り、自らの給料を半額に削減する方針を明らかにしました。
 それによると、知事が4月から3カ月間、給料月額を50%、副知事二人が30%を減額します。減額分は計395万4000円となります。県は関係条例の改正案を、3月定例県議会に提案する予定です。また、県開発公社は、理事長ら役員給与の10%と職員給与の5〜10%を、それぞれ5年カットすることを決定しています。削減総額は5年間で約1億6300万円になる見込みです。歴代の理事長らに対しても、退職金の20%を返納することなどを求めるとしています。
 東京新聞の取材(2009/2/19付け)で、橋本知事は「(公社への損失補償をした)他県の例も勘案して決めた」と説明しています。今任期の退職金を辞退する考えについては、「考えていない」と否定したということです。
参考:茨城県開発公社のHP
茨城県開発公社について(現況の取りまとめ)
 茨城県開発公社は、340社以上の企業誘致を行うなど、茨城県の発展に大きな貢献をしてきましたが、平成21年度から、低価法の導入に伴い、経営の悪化が予想されています。
 経営悪化の要因は、未着工となっている4団地等が重荷になっていること、赤字の福祉施設に対し支援を続けてきたこと、平成17年度の減損会計の導入によって大幅な減損が発生し、経営を圧迫したことなどが挙げられます。
 このため、茨城県は、開発公社の支援を地域振興に寄与できる採算性の高い事業のみに限定する方針です。
 この支援期間は、平成21年度からの10年間で、5年目に抜本的に支援計画を見直しを予定しています。
【土地部門】
 分譲中団地について10年間の支援期間内での完売を目指しています。
 未造成団地につきましては、地元から事業化の期待がありますことから、その後は県が事業承継することになっています。
 代替地につきましては、売却を進めるほか、地元市町村への移管を検討しています。
【福祉施設部門】
 「砂沼サンビーチ」は、平成20年度一杯で地元下妻市に施設を移管し、下妻市が引き続き運営を継続します。
 「いこいの村涸沼」(茨城町)は、平成21年度までに黒字化が実現できない場合には、平成22年度からの施設の廃止、または民間に譲渡することになります。
 「国民宿舎鵜の岬」(日立市)は、平成元年から連続20年間利用率全国一位を記録する優良施設です。平成23年度からの次回の指定管理受託に向け、さらなる経営努力に努める方針です。隣接する「鵜来来の湯十王」についても、同様に指定管理者の継続を目指します。
 「ワープステーション江戸」については、平成21年度までに黒字化の見込みとなりました。民間への譲渡を含めた今後のあり方について、検討していきます。
【ビル管理部門】
 「開発公社ビル」については、現在、黒字を計上しており、当面は経営を継続します。今後のテナントの入居状況などを考慮し、5年目に売却も含め見直しを検討します。
 「茨城空港ターミナルビル」については、茨城県として、「茨城空港の」の運営に支障が生じないよう対応していくとしています。