参考写真 平成21年度の県予算編成の中で、県の借金に当たる県債の発行額は1477億円。プライマリーバランスの黒字化をねらって、券再発行を圧縮した20年度から比べると、実に35.2%の増加となりました。これは、国の地方財政対策による「臨時財政対策債」の発行が662億円と前年比105%増と約2倍強の伸びとなったためです。これに対して、公共投資に当てられる県債計上額は724億円で、前年比5.6%の増に押さえ込みました。
 県債の大幅発行増により、予算額の占める県債の割合を示す県債依存度は13.7%と前年比3.4%悪化しました。
 平成21年度末の県債残高見込みは、1兆7917億円となり、前年度に比べて483億円の増となります。
 県債残高の総額は増加を続けていますが、平成18年度からは、県がコントロールできる地方債については残高が減少に転じています。国と地方のマクロ的な地方財政対策に基づく、「臨時財政対策債」などの特例的な県債が増加、特に平成21年度は大幅に増加しているため、全体の県債の残高を押し上げています。
参考写真 そもそも、「臨時財政対策債」という制度は2001年度から始まりました。それまで国は、地方交付税の財源不足分を、地方交付税特別会計の借金でまかなって、地方交付税として各自治体に交付してきました。この借金の将来の返済は国と地方が折半で負担するとしていました。しかし、この不足額を特別会計の借金でまかなうというやり方から、国負担分は一般会計で、地方負担分は各自治体の赤字債によってまかなうことにしたのです。これによって地方交付税は、それに応じた額が減るということになりました。そして、「臨時財政対策債」の発行が大幅に増えていったのです。「臨時財政対策債」は、地方自治体の赤字債といっても、そもそも地方交付税の振り替えであり、その元利償還(借金返済)については全額、その返済年度に地方交付税として、国から交付される仕組みになっています。つまり、各自治体の借金であり、返済義務も当然自治体にありますが、それに相当する額を国が交付税で措置するという仕組みになっています。
 しかし、このような形で地方の財源不足を補うことがどの程度まで持続可能であるのか、茨城県にとどまらない日本全体の地方財政制度に係わる大きな問題であると考えます。
 とりあえず県の立場としては、自らコントロールできる公共投資分の県債発行や職員の退職金に充てる退職手当債の発行などを、極力抑制していく必要があります。
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