ウェルサンピア日立市が応札へ
朝日新聞(2009/2/26)
市長「要望と雇用重視」
 日立市の樫村千秋市長は25日の新年度予算案の発表で、厚生年金健康福祉センター、ウェルサンビア日立の競争入札に参加すると発表した。市による買い上げを求める地元の声を受け、新年度予算案に入札に必要な保証金5千万円を計上。落札時に備え、5億円の債務負担行為を準備した。
 樫村市長は「地元の要望のほか、60人近い雇用があることを重視した」とも述べた。
 ウェルサンピア日立は同市最南部にあり、鉄筋3階建ての客室24室のほか、プールやアイススケート場を併設する郊外型の厚生年金福祉施設だ。施設運営を厚生年金事業振興団が担っているが、所有権は年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)に移管され、新年度中に兢争入札方式での売却が確実視されている。売却ではRFOが最低入札価格を設定する。現時点では最低価格が公表されていないため、市が確実に落札できる保証はない。
 同時に発表された日立市の一般会計当初予算は、605億400万円で前年度に比べ3.9%の伸び。法人市民税を過去最大となる42.9%減の16億9200万円と見込み、減収分を市債償還基金などから繰り入れ、「苦労した予算になった」(同市長)という。
応札に5億円の債務負担行為を設定
参考写真 日立市みなと町の厚生年金健康福祉センター「ウェルサンピア日立」は、2005年の年金改革によって、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)によって、2010年3月までに、廃止または民間や自治体に売却されることになっています。これに対して、地元の久慈学区、坂下学区、大みか学区のコミュニティを中心とする住民は、「ウェルサンピア日立は、(この地域に)絶対に必要な施設である」として、「経営者が代わっても経営が存続できるよう最大の努力と、市の入札参加についても真剣に検討」するよう求める要望書を、10400人の署名を添えて日立市に提出しました。この経緯は、「ウェルサンピア日立存続に3544人の署名」(2008/12/19付け)で詳しく紹介してあります。
 こうした声を受け、日立市の樫村市長は「新年度予算に入札参加に必要な保証金5000万円を計上すると共に、5億円までの入札を可能とする債務負担行為を市議会に提案する」と、2月25日の記者会見で公表しました。席上、樫村市長は「地元からの要望と58名の従業員がほとんど地元採用のためその雇用確保を重視した」と、応札の理由を説明しました。
 ウェルサンピア日立の入札公示は、新年度早々行われると想定されており、2ヶ月後には入札が行われます。公示の際には、最低売却価格が提示され、その金額以上であれば一般企業や地方自治体などが、同じ土俵で入札に参加できます。日立市としては、議会から承認されれば債務負担行為として5億円を上限に応札をすることになります。他の事業者が5億円以上の入札を行えば、その事業者が落札をすることになります。また、最低売却価格が5億円を超えれば、入札そのものに参加できなくなります。
 今後、日立市としてはRFOに対して、ウェルサンピア日立の事業の継続や雇用の維持を条件に入札を行うよう申し入れを行うことにしています。
 日立市がウェルサンピア日立を落札した場合は、指定管理者制度などを活用し、民間事業者に実際に運営は委託するものと思われます。

(2009/5/9更新)
 2009年5月8日、サンピア日立の一般競争入札が行われ、日立市が3億4500万円で落札しました。詳しい経緯は、「サンピア日立、日立市が3億4500万円で落札」をご覧下さい。
入札参加へ市が前向き
茨城新聞(2009/2/26)
ウェルサンピア日立
 年金改革の一環として2010年3月末までに一般競争入札で売却される予定の厚生年金健康福祉センター「ウェルサンピア日立」(日立市みなと町)について、樫村千秋日立市長は25日の定例会見で、自治体として入札に参加したい考えを示した。09年度当初予算案に入札・契約保証金として5000万円を計上した。58人の従業員はほとんどが地元採用のため、樫村市長は入札参加を目指す理由について「雇用を確保したい」と説明した。
 同施設は、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)が売却するが、まだ入札の公告はされておらず、最低売却価格は未定。地元住民らが存続や市の一般入札参加を求めて署名活動を展開し、約10400人分の署名を市に提出していた。

日立市一般会計3.9%増、605億円公共事業費42%増
読売新聞(2009/2/26)
 日立市は25日、新年度予算案を発表した。一般会計は3.9%増の605億400万円。景気後退の影響で、法人市民税収は前年度当初比で過去最大の42.9%減となったが、継続事業の日立駅周辺地区整備や学校校舎改築などの事業費がピークを迎え、3年ぶりの増額編成となった。
 市税全体は5.1%減で、6年ぶりの減少。法人市民税は12億7000万円減額の12億9200万円を見込んだ。歳入不足は、市債償還基金などからの繰り入れを62.7%増額、市債も26.5%増額して賄った。
 歳出は、継続事業費と日立港後背地取得などによる公共事業関係費が42.5%増。年金改革で売却される厚生年金健康福祉センター「ウェルサンピア日立」の入札にかかる経費も計上したが、樫村千秋市長は「最低入札価格が5億円を超える場合には参加しない」としている。
 また、市消防職員が盗掘の疑いで逮捕されたことについて「市民に申し訳ない。規律を徹底していく」と陳謝した。