雇用調整助成金 県内申請急増167件
茨城新聞(2009/03/22)
中小の生産減影響1月
 企業の雇用維持を国が支援する「雇用調整助成金」の県内の申請件数が、急増していることが21日までの茨城労働局のまとめで分かった。景気悪化に伴い企業が大幅な生産調整に入った昨年12月以降増え始め、1月は中小企業への助成率引き上げもあり前月比で十倍の167件、対象労働者も約6千人に上った。派遣労働者の雇い止めが問題となるなか、労働環境の悪化は正社員らにも及んでいる現状が浮き彫りになった形だが、労働局は「今後も申請は増える見通し」とみている。
 労働局によると、雇用調整助成金の県内申請件数は、昨年9月から11月までは計一件のみだったが、12月に大企業二件、中小企業14件あり、対象労働者数は計約560人、休業のべ日数は計約2100日となった。1月に入り申請は大企業24件、中小143件と前月比十倍に急増。対象労働者数も計約6千人、休業のべ日数は約2万9千日となった。
 2月は集計中だが、申請は前月から倍増する見込み。2007年度は1年間で申請がゼロだったことから、景気悪化の影響の大きさがうかがわれる。
 申請事業所の主な業種は、不況で影響の大きい輸出関連や自動車部品関連などの製造業で、地域別でも土浦や水戸、日立といった工場集積地域が目立つという。生産調整は、建機大手の日立建機などで従業員の一時帰休などを実施。大企業の発注減に伴い、中小の下請けや素材産業にまで及んでいる。
 申請は休業への手当支給が多いが、大企業を中心に訓練への支給も増加傾向という。同局職業対策課は「一人当たりの休業日数は平均週1−2日、月8日程度と増える傾向にある。申請も1年計画で出ており、長期化する見通し」と景気悪化の深刻さを指摘している。

 公明党が制度創設や拡充を推進してきた「雇用調整助成金」制度が、深刻な経済危機のの中で、雇用の維持に大きく貢献しています。
雇用調整助成金:対象者数、2カ月で100倍、1月88万人 製造業集積地で急増
 事業の縮小や休業を余儀なくされても、従業員を解雇せずに休業などで雇用調整を行う企業に対し、手当や賃金の一部を助成する「雇用調整助成金制度」の申請件数が急増しています。「雇用調整助成金制度」は、休業や教育訓練、出向などで従業員の雇用維持に努めた企業を支援する制度です。例えば中小企業の場合、現行では企業が従業員に支払う休業手当の5分の4を助成する仕組みになっています。
 厚生労働省の集計によると、2009年1月に全国の労働局が休業計画を受理した事業所数は1万2640件、対象者数は87万9614人に上った。昨年11月と比べると、2カ月で事業所数は63倍、対象者数は99倍の伸びとなっています。12月、1月の対象者数の合計は100万人を突破しました。雇用情勢が厳しさを増すなか、同制度が雇用維持に大きな役割を果たしていることが浮き彫りになっています。増加傾向は今後も続く見通しです。
 雇用調整助成金は、2008年度第1次補正予算や政府の「生活対策」「生活防衛のための緊急対策」で大幅な拡充策が盛り込まれ、昨年12月から実施されました。中小企業が賃金や休業手当の8割(従来は3分の2)を国から受給できるようにしたほか、支給要件を大幅に緩和。さらに、08年度第2次補正予算(1月27日成立)でも大幅に制度を拡充し、大企業への助成率を3分の2(従来は2分の1)に引き上げたほか、休業規模などの助成対象要件が緩和されました。
 雇用調整助成金の大幅拡充については、公明党の北側一雄幹事長が昨年11月26日、追加雇用対策を2次補正や来年度予算案に盛り込む必要性を強調。これを受けて、与党プロジェクトチームが提言をまとめて首相に要望し、制度拡充に至りました。
 公明党は、「雇用調整助成金」を一層充実させるため、1年間で200日となっている支給限度日数の引き上げを提案。また、利用者にとって使い勝手が悪いと指摘されている「休業計画」の届け出について、柔軟に対応するよう求めています。
雇用調整助成金制度の見直し
●申請時の休業計画届け出の柔軟化
●支給限度日数の引き上げ
●助成金支給までの「つなぎ資金」実現

参考:雇用調整助成金について