「認識の違い」「確信犯」=小沢氏側と検察、法廷で全面対決へ
時事通信(2009/3/24)
 小沢一郎民主党代表の資金管理団体「陸山会」をめぐる違法献金事件。大久保隆規秘書が24日起訴されたが、政権奪取を目前にした小沢氏は「単なる認識の違い」として徹底抗戦の構えだ。一方、検察は小沢氏側を「確信犯」と断じており、今後の公判では、「小沢氏側対検察」の全面対決という様相を呈している。
 小沢氏は秘書逮捕翌日の4日、記者会見で「衆院選が取りざたされる時期に異例の捜査が行われ、政治的にも法律的にも不公正な国家権力の行使だ」と訴えた。
 その後も政権交代への意欲を強調し、「(政治資金)収支報告書の処理の認識の違いだ」と繰り返した。小沢氏の法律顧問やかつての秘書が弁護団に加わり、起訴まで一貫して否認した大久保秘書を支えており、小沢氏の意向に従って法廷闘争が展開されそうだ。
 検察側は「証拠がなければ逮捕しない。架空の政治団体を使った巧妙な手口で、時効の関係から立件した不正献金額はその一部」と強調した。大久保秘書から西松建設に送られたとされる陸山会名義の「請求書」や、同秘書と献金額などを直接交渉したとする同社関係者の証言を立証の軸に据える見通しだ。
 さらに違法献金の背景を解明するため、東北地方の談合組織メンバーだった複数のゼネコン関係者から「献金効果」を聴取。大久保秘書ら小沢氏の事務所関係者による談合組織への「口利き」の実態も公判で明らかにするとみられ、公判での検察側冒頭陳述の内容次第では、小沢氏や民主党に打撃となることも予想される。

参考写真 民主党の小沢代表は、西松建設からの献金の問題を、「(政治資金)収支報告書の処理の認識の違いだ」と繰り返して強調し、「今までは(政治資金収支報告書の)修正申告で済んだ」と反論。検察の国策捜査だと強い敵意をむき出しにしました。
 反面、東京検察は、ゼネコン側から長年にわたり巨額の献金を受け、その見返りに工事の受注調整に小沢代表側が関与してきたとし、これは「政治とカネ」の透明性を確保するという規正法の意義を無視したもので、断罪されるべきものと強調しています。
 小沢代表の主張を交通違反にたとえるならば、「今回の献金事件は、単なる形式犯である。40キロ制限の道路で、速度オーバーした車を全て逮捕したら大変なことになってしまう。自分は、車の流れに乗るために不注意で速度オーバーしてしまったのだから、パトカーはサイレンでも鳴らして注意してくれれば、速度をすぐに抑えたのに、いきなり逮捕とは言語道断だ」という主張になるのではないでしょうか。
 しかし、検察の言い分は、小沢事件の本質は、「わいろに似た企業献金」であり、その中でもダミーの政治団体をわざわざ用意した西松建設からの献金が十数年間で約3億円にも上った悪質さから判断すると、断じて単なる「形式犯」ではないと指摘しているのです。不注意での制限速度オーバーという違反は「形式犯」かもしれませんが、エンジンやサスペンションなど足回りを大幅に改造して300キロも出る車で、制限速度を大きくオーバーして走ることは確信犯であり、無意識での速度超過とは格別に思い犯罪性があるということでしょう。
 西松事件は、検察が小沢代表側を断罪するという場面から、一段進んで、国民が小沢一郎を断罪するという新たな局面に入ったと言えると思います。