犬・猫の命救うため
飼い主探す団体認定県が新制度
読売新聞(2009/3/27)
 殺処分される犬の頭数が全国ワーストの県は、飼育放棄などで県動物指導センター(笠間市)に収容された犬・猫を一時的に引き取り、新たな飼い主を探す動物愛護団体を認定する制度を始めた。26日には、「どうぶつ福祉の会AWS(アウス)」(境町・上山(うえやま)幸子会長)が、第1号として認定書を交付された。こうした認定制度は全国で初めてという。
 県生活衛生課によると、センターで殺処分された犬は、2007年度、6189頭にも上り、全国の都道府県で最も多い。猫を合わせると9717頭(全国ワースト9位)が殺されている。捨て犬などの捕獲頭数も4519頭と全国最多で、飼い主のモラルの低さが指摘されている。特に子犬の時期から飼育放棄する傾向が強く、収容された犬・猫は、引き取り手がいなければ殺処分される。
 県は、「譲渡に適する犬猫の選定」「新たな飼い主へ譲渡する際の事項」などにガイドラインを設け、適合する団体を認定する。同課は、「適正な動物の譲渡を拡大するためには、民間の愛護団体の協力が不可欠で、県民が愛護団体から安心して譲渡される環境を整備することが必要。新たな認定制度で団体が県民に理解され、飼い主探しがスムーズになるようにしたい」としている。
 AWSは1998年に設立され、会員は約100人。譲渡会を開くなどしてセンターから引き取った犬・猫の里親探しを続けている。県庁で行われた交付式で、認定書を川俣勝慶副知事から受け取った上山幸子会長は、「人間と同じ命を持つ動物を不幸にしていいのかという思いにかられて運動をしてきた。いらなくなればセンターに出せばいいというモラルの低い飼い主が多すぎる」と憤っていた。

平成19年9月議会で公明党田村けい子県議が提案
参考写真 少子高齢化、核家族化が進む中で、ペット志向が高まっています。動物は、単なる愛玩の対象から、家族の一員、あるいは人生のパートナーとみなされ、飼い主と動物は深いかかわりを持つようになりました。
 しかしその反面、動物の飼育に関する理解不足を原因とした虐待や放棄、飼育マナーの欠如による近隣への迷惑行為、ペットショップでの不適切な管理など、多くの課題が山積しているのも事実です。
 公明党では、早くからペットと共生できる地域社会の整備を目指して、議会内外で様々な運動を行ってきました。
 平成19年9月の茨城県議会一般質問では、つくば市選出の田村けい子県議が、全国的にもワースト水準である犬猫の殺処分の状況を指摘し、ボランティアとの連携など具体的な提案を行いました。
参考写真 その中で田村県議は、「平成18年度の我が県における犬、猫の引き取り数及び保護数は1万2、306頭となっており、そのうち、処分数が1万1、741頭となっています。捕獲、または引き取られて動物指導センターに送られた動物たちは、5日目の朝には炭酸ガスで処分されます。本県は返還譲渡率が低く、犬の致死処分数においては、平成17年度で7、974頭と、全国ワースト1位となっております。動物といえどもかけがえのない命、処分数を減少させる取り組みの強化が望まれます」と語り、「(保護された犬猫の)譲渡率を高めるための取り組みとして、譲渡に取り組むボランティア団体との連携、協働の拡大、譲渡先が決まるまでの一時預かりボランティアの組織化などにより、動物の譲渡を円滑に行うための仕組みの構築が待たれます。新たに犬や猫を飼い始めようとする人が、動物の入手先として、動物指導センターや譲渡事業を行う団体を選択することがごく普通のこととして行われるような社会にしていくため、譲渡制度の認知度を高める方策を検討することが必要です」と提案しました。
 これに対し当時の保健福祉部長は、「今後、さらに愛護団体を育成して、県内各地で適正な譲渡を行っていただくために、預けた犬、猫の取り扱い方法や譲渡先の選定などについてガイドラインを作成し、これを遵守できる団体を認定する制度の創設を検討してまいります」と、答弁し、そのガイドラインが日本で初めて策定され、今回その認定の第1号が決定されたものです。
 公明党茨城県議会議員会としては、動物愛護の拠点施設を動物指導センターからの分離や市町村の動物愛ご担当部門の設置など、ペット行政の充実に努力してまいります。
参考:どうぶつ福祉の会AWS(アウス)のHP