参考写真 政府・与党が10日に決定した新たな経済対策「経済危機対策」のポイントなどについて、公明党の山口那津男政務調査会長へのインタビュー記事が、4月11日付の公明新聞に掲載されました。以下、そのポイントを転載いたします。
――過去最大の経済対策になったが。
山口 財政支出15.4兆円、事業規模は56.8兆円。2008年度1次、2次補正、09年度予算での対策と合わせ130兆円超は、政府・与党として景気回復への強い決意を表したものです。
――対策の意義は。
山口 今は100年に一度といわれる未曾有の経済危機。まずそれをどう克服するか考えなければなりません。経済の底割れを防ぐことが第一。また現在、いわば世界全体が「大調整」の局面に入ったといえます。いずれ現れる世界経済の新しい秩序に向け先手を打っていくことが必要です。国民に安心感を与えつつ、日本が立ち直り、世界に通用する経済構造につくり直していく。ピンチをチャンスにする対策です。麻生太郎首相の「赤字国債も辞さず」との決意を受け、現在の国民生活を守り、未来を切り開く対策の実現に取り組んでいきます。
子宮頸・乳がん検診を無料化
――与党間協議で公明党が強調した点は。
山口 自民党側は、どちらかというと新たな経済構造をつくる政策重視。もちろんそれは大切ですが、公明党は国民の安心感も重要という立場。「困っている国民が、直接支援の手を差し伸べられていると実感できる施策を」と強調しました。最後まで調整が必要だったのは、子育て支援策と女性のがん対策などでした。
――子育て支援策はどう決着したか。
山口 08年度2次補正予算で実施された「子育て応援特別手当」の拡充です。2次補正では第2子からでしたが、「第1子からの実施を」との声を多くうかがいました。交渉の結果、第1子から小学校入学前3年間の幼いお子さん1人当たり年額3万6000円支給を今年度のみ実施することで妥結しました。
 これは、児童手当の加算(0〜2歳児)がない幼稚園に通うお子さんを持つ家庭への支援という意味もあります。また幼児教育の無償化や、幼稚園、保育所に通うお子さんを持つ家庭の負担軽減は、政府の骨太方針や昨年の連立政権合意にも入っていますので、将来的には、その実現にも取り組んでいきたい。
――女性特有のがん対策は。
山口 子宮頸がんについては20歳から5歳刻みで40歳まで、乳がんは40歳から同様に60歳までの各年齢の人を対象に健康手帳を配布し、それに検診クーポン券をつけることで検診を無料化します。
 このほか最終的に、難病患者支援で患者団体などからの要望が強い11疾患を医療費助成の対象に入れることができました。さらに数疾患も検討中です。
学校の太陽光発電設置促進
――成長戦略について公明党が強調したことは。
山口 「環境」による需要創出を強く訴えました。
 「スクール・ニューディール」として学校への太陽光発電パネルの設置やエコ改修などを進めます。学校耐震化は5年計画であったものを3年間に前倒し。環境対応車(エコカー)への買い替え補助も実施。既に今年度予算でも大幅な減税策を実施しており、エコカー普及が大きく進むと思います。
 製品購入などに使用できるエコポイント制度を活用してエアコンやテレビ、冷蔵庫のグリーン家電普及を図ります。それぞれ価格の5%相当のポイントを付与するほか、地上波デジタル対応テレビの場合、さらに5%を上乗せ。買い替えの場合リサイクル料金相当分も上乗せされます。
――緊急対策として特に強調する点は。
山口 雇用対策です。一つは非常に需要の多かった雇用調整助成金の拡充です。もう一つは、雇用保険を受給していない方を対象に、職業訓練の拡充と訓練期間中の生活保障を行う「訓練・生活支援給付(仮称)」の支給などを実施するための「緊急人材育成・就職支援基金(同)」の創設です。これは第2のセーフティーネット(安全網)といわれているものです。
――中小企業支援策は。
山口 資金繰りを支援する緊急保証の保証枠は20兆円から30兆円へ1.5倍、セーフティネット貸付も3兆円追加しました。
――そのほかのポイントは。
山口 例えば、地域の医療拠点の維持・整備や機能の強化、医療人材の確保、がん新薬や小児新薬、新型インフルエンザワクチンの開発、介護職員の処遇改善やスキルアップ支援、介護施設の充実なども盛り込みました。高齢者医療対策や障害者自立支援対策の推進、母子家庭や父子家庭などひとり親家庭への支援策も手厚くなっています。
――税制対策は。
山口 住宅取得のための贈与税軽減や中小企業の交際費課税軽減、研究開発税制の拡充の三つが盛り込まれましたが、贈与税に関しては、若い世代への資産移転で、おカネが市場に出て、裾野の広い住宅産業の活性化が進むことを期待しています。
――地方自治体への財政支援策は。
山口 今回の対策に盛り込まれたさまざまな施策を実効性あるものにするため、自治体の取り組みは極めて重要です。公共投資の自治体負担の9割まで支援する「地域活性化・公共投資臨時交付金(仮称)」1兆4000億円と、その他の自治体の事業に幅広く使える「地域活性化・経済危機対策臨時交付金(仮称)」1兆円が設けられました。
 公明党は地域に根差したネットワーク政党です。二つの交付金をどう活用するかについて、わが党の地方議員の意欲あふれる取り組みを期待しています。