参考写真 平成21年度補正予算・「新たな経済対策」には、女性特有のがん対策として、一定年齢に達した女性を対象に健康手帳の交付とともに、子宮頸がんと乳がん検診の無料クーポン配布が盛り込まれました。
 子宮頸がんについては20歳、25歳、30歳、35歳、40歳の人、乳がんは40歳、45歳、50歳、55歳、そして60歳が対象です。
 子宮頸がんと乳がんなどは、早期発見すれば完治する可能性が高いことが知られています。
 しかし、その受診率は、英米の7〜8割程度に比べ、日本は2割台前半という極端に低い状況が続いています。
 今回の対策によって、「政府のがん対策推進基本計画」(07年6月)で検診受診率の目標として掲げている「5年以内に50%以上」の達成に向け、大きな一歩になると期待されます。
 近年、子宮頸がんや乳がんに罹患する若い女性が急増していることが指摘されています。事実、毎年子宮頸がんでは約8000人が罹患し約2500人が死亡、乳がんでは3万5千人が罹患、約1万人の女性が命を落としています。芸能人など若い女性のケースが目立つようになって、時折話題になっています。がん対策は「早期発見・早期治療」することが一番の決め手です。いずれのがんも検診受診率が20%程度と極めて低いのが現状です。アメリカやフランスなどが70〜80%台の受診率なのに、日本はOECD各国の中では最低です。
参考写真 こうした現状の中、公明党は、受診率を向上させ、多くの女性を救うことが出来ないのかと再三にわたり厚労省に申し入れを行って来ました。しかし、一向に受診率が伸びていません。がん対策費は厚労省・文科省・経産省三省の21年度予算で524億円。実は、すでにがん検診事業も地方交付税措置で、倍増し1300億円になっていました。しかし受診率50%を目標にして、駅前や繁華街でのキャンペーンを行っていますが、余り期待できるものがありませんでした。
 何故、検診率が向上しないのか。さまざまなアンケートや意識調査から明らかなように「恥ずかしい」「怖い」「痛そう」「知らなかった」という実態があります。かつて受診率が低かったイギリスでは1988年にセンターをつくり、コンピューター管理をして対象女性全員に受診勧奨通知をした結果、飛躍的に受診率が伸びて80%台となり、死亡率も毎年7%ずつ低下していったそうです。
 公明党は、多くの女性に検診に行ってもらうためには「無料」であること。「個人に通知」がされること。「いつでもどこでも受けられる」、「必要性を啓蒙する」の4点がポイントだと考えました。
 そこで「女性の検診・応援クーポン」として検診が無料になるクーポンを個々の女性に送付する。その際、簡素なもので構わないから履歴を記録できる「検診手帳」を一緒に送る。ということを提案したものです。
 何故、「経済危機対策」なのに女性のがん検診なのかと思う意見もありかもしれません。この対策の目標は「安心と活力」です。公明党の提案により、女性の方々が「安心」して社会の中で活動していただくことは、ひいては活力にもつながるものだと考えました。また少子化対策にも資するものだと思っています。
 今回、女性特有のがん対策の充実ということで、子宮頸がん検診は20歳から5歳刻みで40歳まで、乳がん検診は40歳から同様に60歳までの各年齢に達した人を対象に、無料クーポンを交付することとなりました。
 ただ予算をつけただでは 受診率はあがらないと思います。役所が検診を公報に告知するだけでは今までと変わりません。国が付けた予算に対して、その実施に当たる地方がいかに真剣に取り組むかが、政策の成否を握っています。