4月28日、井手よしひろ県議とたかさき進県議(水戸市選出)は茨城労働局を訪ね、職業安定課相澤均課長、松永勝典事業所給付監査官より「雇用調整助成金」の県内支給状況について、聴き取り調査するとともに意見交換を行いました。
参考写真 事業の縮小や休業を余儀なくされても、従業員を解雇せずに休業などで雇用調整を行う企業に対し、休業手当や研修費用の一部を助成する「雇用調整助成金制度」は、厳しい企業の経営状況の中で、雇用を下支えする大きな効果を発揮しています。全国では、2月までの累計で申請し受理された企業は、4万5942社に上り、対象者数は実に291万0362人と前年度(1万2940人)の225倍に膨らんでいます。もし、この制度がなかったならば、多くの雇用が失われていたことも考えられるわけです。
 雇用調整助成金は、2008年度第1次補正予算や政府の「生活対策」「生活防衛のための緊急対策」で大幅な拡充策が盛り込まれました。特に中小企業向きには、「中小企業緊急雇用安定助成金制度」が創設されました。この制度は、08年12月から当面の間の臨時措置です。中小企業が賃金や休業手当の8割(従来は3分の2)を国から受給できるようにしたほか、支給要件が大幅に緩和されました。さらに、08年度第2次補正予算(1月27日成立)でも大幅に制度が拡充され、生産量だけでなく売上も助成対象用件に加えたり、休業規模やクーリングオフ期間をなくすなどなどの要件も大幅に緩和されました。
 また、3月30日からは雇用調整助成金の助成率がさらに拡充。助成の判定基礎期間とその直前の6カ月間に従業員を解雇していないなどの要件を満たした場合、助成率が中小企業で9割まで引き上げられました。
さらに、厚労省は、休業や残業削減を組み合わせることで解雇を防ぐ「日本型ワークシェアリング」推進のため、雇用調整助成金の一種として「残業削減雇用維持奨励金」を暫定的に創設しました。奨励金は、有期・派遣労働者1人当たり、大企業が20〜30万円、中小企業では30〜45万円の助成を行うことになります。1社当たりの上限は、有期、派遣それぞれ100人分となっています。 残業時間を半分以下に減らすことによって、有期契約労働者や派遣労働者の雇用を維持した企業に支給します。
 茨城労働局との意見交換では、申請から支給までの期間を短縮できないか、手続きを簡素化できないかなどが一番の話題となりました。
 井手県議が、「実際の支給まで4ヶ月から5ヶ月掛かると聞いているが速やかに支給を行うことが出来ないのか」と尋ねたのに対して、相澤課長は「就業規則や休業・教育訓練協定書などの基本的な資料が整っていれば、実際に休業手当を支払ってから2ヶ月程度で助成金を支給することが出来る。中小企業の中には、就業規則や労働協約自体がないところもあり、そこから作り直すとすると相当の時間が掛かっている。中々一回の事前相談で、申請までいかない場合も多く、しっかりとした相談体制を整備したい」と回答しました。また、「従業員を解雇しないで雇用を確保している中小企業に対しては、休業手当の9割までを助成できる制度になったが、利用状況はどうか」との質問に対しては、「9割支給も可能だが、助成金の最高限度額(基本手当日額の最高)が7730円と決められているので、実質的には9割までの金額が出ないのが現実である」との説明がありました。さらに、「運輸業などの休業のスケジュールが事前に組みづらい業界に対しては、どのような対応を行っているのか」と質問したところ、「事前計画で休業予定を多めに申請していただいて対応している。実際に業務が入って、休業しない場合でも手当てを申請しなければ問題ない。休業予定を入れていない場合は、実際に休業して申請しても認められない仕組みになっているので注意が必要だ」との答えがありました。
 たかさき県議は、雇用調整助成金が支給されるまでのつなぎ融資について質問。「日本政策金融公庫などがつなぎ融資を行うことをマスコミ報道などで聞いているが、詳細は把握していない」との回答があり、一刻も早い具体化が必要だと痛感しました。
参考:雇用調整助成金制度説明及び受給要件等(動画)