4月27日に国会に上程された平成21年度補正予算には、国民の約3割が罹っていると推定されるスギ花粉症への対策が盛り込まれました。「花粉の少ない森林づくり対策事業」に約100億円を充てるとともに、スギ花粉症を緩和させる「米」の研究拠点の整備に約15億7000万円が計上され、花粉症対策の前進に大きな期待が寄せられています。
参考写真 スギ花粉症が急増している要因の一つとして、戦後に植えられたスギが伐採されずに放置され、多くの花粉を飛ばすようになったことが指摘されています。
 「花粉の少ない森林づくり対策事業」は花粉発生源対策として、首都圏・京阪神圏近郊において花粉の多いスギを伐採し、花粉の少ないスギや広葉樹などへの植え替えの促進を図るのが大きな柱です。林野庁は2011年度末までに300万本の伐採・植え替えをする目標を掲げています。
 具体的には、森林所有者に呼び掛け、立木買い取りの支援を行うとともに、優良苗木の生産拡大や低コスト造林など先駆的な取り組みを行う民間団体を支援します。
 また、スギ花粉症の根治薬として期待される「スギ花粉症緩和米」を実用化するため、スギ花粉症緩和米試験研究拠点の整備が新規事業として盛り込まれました。農林水産省によれば、「スギ花粉症緩和米」はこれまでの動物実験により、スギ花粉のアレルギーを緩和させることが分かっています。今後、人に対する安全性、有効性を確認するための試験を行うとともに、栽培技術の確立など研究開発を急ぐ方針です。
花粉の少ない森林づくり対策事業
【平成21年度補正予算:99億8600万円】
事業のポイン
_嵎竿生源対策の加速化を図るため、首都圏近郊等における花粉の多いスギの伐採・植替えを促進します。
∋業実施箇所の立木買取、伐採、販売等を行う森林組合等に対するセーフティネットを構築し、積極的に事業を取り組める環境を整備します。
H穏寮彙呂悗両花粉スギや広葉樹等の植栽を促進します。
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・平成19年8月に策定した「今後の花粉発生源対策の推進方策について」においては、花粉症患者の多い首都圏等への花粉量に与える影響が「非常に強い」スギ林を主体に対策の重点化を図ることが効果的としています。
・昨今の景気の後退に伴い、花粉発生源対策としての伐採や植替えが停滞しており、取組を加速化させることが必要です。
政策目標
首都圏近郊等における花粉の多いスギについて、平成23年度末までに300万本の伐採・植替えを促進
具体的な内容
首都圏近郊等における花粉の多いスギの伐採・植替えを促進するための取組や、優良苗木の生産、低コスト造林の推進等を支援します。
1.花粉発生源スギ林伐採・植替え協力森林の確保
森林組合等が行う森林所有者に対する協力森林確保のための呼びかけ、立木買取や少花粉スギ等の苗木に係る説明会開催や個別訪問を支援します。また、協力森林についての立木評価の実施を支援します。
2.立木の買取・伐採・販売
協力森林の立木買取や伐採、販売等を行う森林組合等が積極的に事業に取り組めるよう、これらの経費について、販売金額で賄えない場合に支援するためのセーフティネットを構築します。
3.広葉樹林、少花粉スギ展示林の造成等
協力森林の伐採跡地等において森林組合等が行う広葉樹等の植栽や天然更新補助等に要する経費を支援します。また、森林組合等が行う少花粉スギ展示林の造成等を支援します。
4.優良苗木の生産や低コスト造林等の推進
苗木生産業者等が行う母樹林の造成・整備、先駆的苗木生産等及び民間団体等が生産性向上のために行う技術指導等を行うための経費を支援します。また、民間団体が低コスト造林など人工林施業に係る先駆的な取組を行う経費を支援し
ます。

スギ花粉症緩和米とは?
 農水省は2009年度、遺伝子組み換え(GM)農産物を医薬品や医療用に生かす実用化技術研究を加速させるため、スギ花粉症緩和米の研究拠点施設を整備することになりました。GM技術で育成されたスギ花粉症緩和米は、2年前に食品用での利用推進を断念した経緯があります。農林水産省は、世界でも前例のない「食べる医薬品」として開発し、花粉症対策の切り札にしたい考えです。
 花粉症の治療法には、花粉シーズンの少し前から症状を抑える薬(抗アレルギー薬)の服用を始め、そのままシーズン中も継続する方法が一般的です。
 一方、根本的に花粉症自体を治してしまう治療法として期待されているのが、「減感作療法」といわれているものです。「減感作」とは、体の中にできてしまった花粉に対する抗体を減らしてしまい、過剰なアレルギー反応がでないようにするという意味です。原因となっている抗原(ここでは花粉)を少しずつ増やしながら注射していく治療法で、簡単に言えば、徐々に抗原に慣れさせて、最終的にはアレルギーが起こりにくい体質に変えていこうというものです。治療自体には2〜3年間が必要ですが、唯一、アレルギーを治すことが可能です。スギ花粉症の人に対する有効率は約60〜70%といわれています。しかし、治療期間が長くかかること、注射量の加減の見極めが必要なこと、注射を受けるために病院へ通わなければならないこと、そして、まれに副作用がおこることから、必ずしも普及しているわけではありません。
 もっと簡単で安全な花粉症治療の方法はないだろうか?こうした要望にこたえられる1つの可能性として、遺伝子組換え技術を利用したスギ花粉症緩和米の開発が行われています。
 スギ花粉症緩和米は、簡単に言うと「毎日のご飯を食べることによって、スギ花粉に対する減感作治療法をしよう」というものです。ご飯として食べることは注射に比べればはるかに簡単な接種方法ですし、また、長期にわたって何回も病院に通う必要もありません。薬と違って飲み忘れも少ないと思われますから、患者さんにとって負担の少ない治療法だと考えられます。
参考:スギ花粉症緩和米の研究開発について