参考写真 5月8日、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)は、ウェルサンピア日立の一般競争入札を実施し、日立市が3億4500万円で落札しました。
 ウェルサンピア日立は1987年に開業、2.8ヘクタールの敷地に鉄筋3階建ての客室24室、レストランのほかアイススケート場などを備える総合的な健康増進施設、宿泊施設です。2007年度には約26万人が利用し、固定資産税が免除されていることもあり、収支は425万円の黒字を計上しています。
 このウェルサンピア日立は単なる宿泊施設ではなく、地域にとってコミュニティーの中心施設として、まちの活性化の中核施設として、大変重要な施設です。
 厚生年金や国民年金の資金で建設され、運営されている施設は、2005年の年金改革の中で、2010年度までに売却されるか、廃止されるることが法律で義務づけられています。
 去る3月3日、RFOはウェルサンピア日立の土地建物の売却を一般競争入札方式で実施すると公告。最低売却価格は3億3000万円で、4月24日まで入札申し込みを受け付け、5月8日に入札を実施しました。
 日立市は、最低価格を1500万円上回る3億4500万円で応札。応札した中で最高額となり、落札しました。
 ウェルサンピア日立については、久慈浜学区、大みか学区、坂下学区の地元の皆さまが「地域に必要な施設で、市が運営を継続してほしい」と1万人以上の署名を集め、市による買い上げを要望していました。こうした地元住民の声を受けて、日立市はウェルサンピアの土地建物を取得して、事業を継続させることを決断。3月市議会に5億円の債務負担行為を提案し、5億円を上限として入札に参加することが認められました。
 RFOが行っている一般競争入札による施設の処分状況をみると、落札価格が最低価格を大きく上回る事例が目立っています。この人気を分析すると、厚生年金施設の「建物品質の良さ」、「まとまった土地面積」、「知名度の高さ、地元への浸透」などの品質面が、高く評価されているためと思われます。
 今回の入札に当たっても、複数のホテル業者や医療・介護関係者などが内見会に参加していることもあり、日立市が落札できるか、地元関係者は気をもんでいました。
 午後2時過ぎに市関係者より落札成功の一報を聞いた井手よしひろ県議は、地元コミュニティ関係者、観光業者、物産販売業者などに報告。一様にウェルサンピア日立の事業継続を喜んでくださいました。また、地元の雇用が守られること何より嬉しいと語ってくださった方もいらっしゃいました。
 日立市は、今後、ウェルサンピア日立の事業をどのような形で継続していくか、地元住民などの意見も尊重しながら検討していくことになります。昨年12月に井手県議が視察した愛媛県伊予市の事例のように、ホテル業に精通する民間事業者に営業を委託する「指定管理者制度」を活用するのが一般的であると思われます。
 厚生年金康福祉センター「ウェルサンピア日立」は、2010年4月20日に日立市の施設として再スタートすることになりました。
サンピア日立、市が落札
茨城新聞(2009/05/09)
3億4500万円、施設維持へ
 社会保険庁が年金資金を使って建設した厚生年金健康福祉センター「ウェルサンピア日立」(日立市みなと町)について、日立市は8日、土地建物を一般競争入札で落札したと発表した。落札額は3億4500万円。市は現在の施設機能をできるだけ維持したい考えで、今後、具体的な運営方法を検討する。
 ウェルサンピア日立は、国が厚生年金や国民年金の保険料を使って全国に建てた施設の一つとして1987年にオープン。敷地面積約2万8千平方メートルで、七階建ての宿泊施設のほか、プールやテニスコート、屋内スケート場などがある。
 全国にある同様の施設は、「年金の無駄遣い」との批判を背景に、独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構」(RFO)が一般競争入札で売却を進めており、市によると自治体が落札するのは九例目という。
 市は施設が黒字経営であることや地元の雇用確保、地域住民の活用状況などを考慮して入札に参加した。今後、運営方法を協議し、施設譲渡予定日の2010年4月20日に、再オープンを目指す。
 ウェルサンピア日立をめぐっては、地元住民らが市の一般入札参加や施設存続を求める署名活動を展開し、約1万400人分を市に提出している。落札を受け、住民からは「よく利用する施設なので、ほっとした」との声が聞かれた。