5月25日、井手よしひろ県議ら県議会保健福祉委員会は、県立3病院の現地調査を行いました。
 新病院の建設が始まる茨城県立友部病院では、土井永史病院長より、友部病院の今後の課題を中心に聴き取り調査を行いました。また、精神科救急の現場施設を視察しました。
参考写真 友部病院は、昭和25年に開設された県立内原精神病院を前身として、昭和35年、現在地の笠間市(旧友部町)に移転・新築されました。それ以降、茨城県の基幹精神科病院として、治療困難な患者の受け入れを行うとともに、作業療法などリハビリテーション医療を積極的に推進し多くの長期入院患者の社会復帰を実現するなど、県民の要請に応えてきました。
 平成18年に公営企業法を全部適用し、19年に土井新病院長を迎え、県立精神科病院として県民の要請に一層応えるため、精神科救急,児童・思春期医療、薬物等中毒性精神障害治療などにも取り組んでいます。平成19年4月1日からは、永年の課題であった精神保健福祉法第24条通報に基づく精神科救急入院の24時間受入体制をスタートさせました。
 そして、この21年度より新病院の新築工事に着手し、22年度完成、23年度開院を目指します。総事業費は60億1400万円です。
参考写真 県立友部病院は、土井院長のリーダーシップの下、様々な改革が進んでおり、精神科の中核医療機関としての機能を発揮しています。その上で、土井院長は、今後の友部病院の課題と取り組みについて、以下の5点を強調しました。
  • 精神科救急の更なる充実・・・平成19年4月からスタートした精神保健福祉法24条による救急体制(警察官通報による精神科救急)の整備により、24時間365日対応の受け入れ体制が完備されました。今後は、民間の医療機関のとのネットワークを構築し、24条通報に至る前に対応できるシステム作りを目指します。将来的には、地域性を加味したブロック制度の導入が課題となります。(プロジェクトE)
  • 精神・身体疾患合併症例に対応できるシステム作り・・・現在、土井院長以下毎週1回、県立中央病院に出向き回診を実施(リエゾン回診)するなど、県立友部病院と中央病院との連携体制を確立します。
  • 児童・思春期精神科医療の推進・・・現在、児童・思春期外来を開設しチーム医療を行いながら、家庭や社会への復帰が円滑に進むことを目的にした治療に当たっています。今後は、専門外来枠の増設、思春期ディケアの開始、県立こども病院と連携して児童虐待やひきこもり、発達障害への対応を図ります。(プロジェクトD)
  • 薬物中毒性精神科障害の治療推進・・・平成21年4月から薬物問題専門外来を設置。「茨城県薬物依存症対策新システム事業」の展開を検討します。民間の薬物依存症からの自立厚生支援施設「茨城ダルク」との連携を強化。茨城県依存症回復協会(IARSA)を立ち上げ、依存症患者の社会復帰の支援や啓発事業、家族の支援などを行います。具体的には、茨城型治療共同体「茨城ダッシュ村」を創設し、農業に従事しながら治療と社会復帰の支援事業をスタートさせます。
  • 慢性重症例への対応・・・睡眠障害や水中毒症などの慢性重症例の生物学的基盤研究を行います。(プロジェクトC・プロジェクトW)
参考:県立友部病院のHP