参考写真 2009年度補正予算の成立を受け、公明党が強力に推進し実現した「女性特有のがん検診推進事業」(216億円)がスタートします。今後、各市町村ごとに準備が進められ、対象者に検診手帳とともに子宮頸がん、乳がん検診の無料クーポン券が配布され、順次、検診が始まります。
 クーポン券の配布対象は、子宮頸がんについては昨年(2008年)4月2日から今年(2009年)4月1日までの間に20歳、25歳、30歳、35歳、40歳になった人。乳がんは同期間に40歳、45歳、50歳、55歳、60歳になった人です。40歳になった人は両方とも受診できます。クーポン券には対象者の名前が記されています。
 スケジュールとしては来週にも、国から交付要綱、実施要綱が各市区町村に送付されます。市区町村は要綱に従い検診対象者を調査するとともに、自治体ごとに検診手帳とクーポン券を作成し、検診医療機関の選定など準備を進めます。転出・転入などがあるため、6月30日を基準日として対象者を確定します。
 それ以後、準備が整った市区町村からクーポン券の郵送が始まります。ただ、人口規模が比較的大きい自治体については、事務手続きの問題などもあり、郵送時期が遅くなることも想定されます。そのため、各市区町村議会などにおける積極的な取り組みが求められます。
 対象者はクーポン券が届いた後、検診手帳に記された医療機関に券を持って直接行くか、電話予約をして受診します。また、居住地域以外で受診を希望する場合は、居住する市区町村の相談窓口に問い合わせをした上で、市区町村が契約した医療機関で受診することになります。
 診察に掛かる時間はともに10分から20分程度。子宮頸がんは、問診や子宮頸部の細胞診などをし、乳がんは乳房エックス線検査(マンモグラフィ)を使い検診します。その結果は郵送で通知されます。
 なお、無料クーポン券の使用期限は、市町村が発送した日から6カ月間の予定です。仮に紛失した場合は、再発行されます。
 検診手帳(監修=中川恵一・東京大学医学部附属病院准教授)は、がんについての正しい知識をイラストや図を使い分かりやすく解説。子宮頸がんと乳がん検診の重要性を検診対象者に理解してもらい、受診を促す内容になっています。このほか自治体ごとの検診医療機関の一覧などが掲載されます。
 日本の子宮頸がんと乳がんの検診受診率は、英米の7〜8割程度に比べると2割程度という状況が続き、先進国では最低のレベルです。今回の無料クーポン券を契機に、政府が「がん対策推進基本計画」の中で検診受診率の目標として掲げた「5年以内に50%以上」の達成に向けて、大きな弾みになるものと期待されます。
(写真は、子宮頸がん、乳がん検診の無料クーポン券の見本)
 6月5日までに、井手よしひろ県議が県保健予防課から行ったヒアリングによると、いくつかの具体的な課題が明らかになっています。以下、例記します。
  • 無料検診の対象を集団検診とするのか個別検診(個別の医療機関での検診)を含めるのか?
  • 個別検診を含めるとその医療機関をどのように確保するか(市町村によっては行政域内に医療機関がない)?
  • 集団検診の場合でも茨城県には3つの検診機関しかなく、キャパシティーが限られている。その調整をどこが行うのか?
  • 国の指針では視触診と超音波検診、マンモグラフィー検診を行うこととなっている。茨城県では、乳がん検診に視触診を入れていないが、事業の対象となるのか?

 さらに、公明党茨城県議会では県の特性を踏まえ、個別検診を県内どこの医療機関でも受けらるように、県が調整機能を発揮しべきと提案しています。また、検診機関間の調整も県が行う必要があると主張しています。また、無料クーポンによる受診に県として目標値を設定して、検診率の向上を目指すことも訴えたいと考えています。