参考写真 6月23日行われた茨城空港利用促進等協議会の総会では、議事終了後、「茨城空港の果たすべき役割と可能性について」と題して、一橋大学大学院商学研究科教授・山内弘隆氏の基調講演が行われました。山内教授は、日本の交通行政に造詣が深く、地方空港の活性化の問題にも積極的に発言をされています。
 山内教授の講演の中で、特に印象に残った点、質疑応答でご回答いただいた点などをまとめておきます。
  • 東アジアの発展と今後の航空市場については、中国経済の発展は今後とも急速に続く、東アジアには共同航空市場として成立してくる可能性がある。そうなると、羽田・成田と各国のハブ空港同士の連携だけではなく、日本の地方空港と中国の内陸空港などとの直接的な連携の可能性も高くなる
  • LCCは航空会社ではない。バス会社であり、バスが空を飛んでいるようなものと考えた方がよい。これにあった空港を作る工夫が大事だ。その意味で茨城空港は興味深い。
  • 茨城空港の競争相手はどこかを、明確にする必要がある。羽田空港の競争相手は成田空港。成田空港はどうするのかという議論さえもある。成田空港自身がLCC対応空港への道を選択するかもしれない。
  • 空港別の収支をみると、ほとんどが赤字である。そもそも、空港で黒字を出すことはできない。羽田空港でさえ、その減価償却費を計算すると大赤字になってします。
  • 地域の核となる空港の位置づけが大切だ。能登空港は旅館業者と提携して、観光振興の役割を果たしています。地域一体の取り組みを茨城空港には期待したい。
  • 「航空政策研究会」の全国主要41空港の収支分析によると、滑走路などの減価償却負担を除いても、全体の75%にあたる31空港が赤字だった。赤字が続けば、自治体の財政を圧迫する恐れがある。減価償却費を除いた場合、収支が黒字なのは羽田、伊丹、新千歳など10空港。黒字額は羽田(127億円)、伊丹(101億円)、新千歳(42億円)が大きく、ほかは10億円以下。赤字が73億円と最大なのは福岡で、土地の賃借料などが重荷になっている。反面、減価償却費を加味すると羽田空港は140億年程度の赤字に転落する。
  • 参考写真<質疑応答:日本におけるコミュータ航空の可能性は?>日本航空や全日空がいきなりLCCの子会社を作ったり、本格的な小型機を運用するコミュータ航空を立ち上げることは、現状では難しいと思う。しかし、日本製のMRJ(三菱グループが開発に着手しているコミュータ機)には注目したい。国が、本格的にバックアップするような体制になれば、地方都市間、地方都市と海外の主要都市間などの需要を喚起して、新たなビジネスモデルができるかもしれない。
  • <質疑応答:LCCは本格的に日本に受け入れられるか?>LCCが本格的に日本に進出してこられるかは疑問だ。今のままの、LCCのサービスに違和感がある日本人は多いだろう。しかし、LCCは本来イノベータである。私は、LCCは日本の合うビジネスモデルをすぐに作ってくると考えている。