参考写真 7月10日、井手よしひろ県議ら保健福祉委員会の一行は、愛知県長久手町の介助犬総合訓練センター「シンシアの丘」を訪問。森田英守センター長より、介助犬の基本的な考え方について説明を受け、訓練の模様や視察の概要を視察しました。
 「シンシアの丘」は、体が不自由な人を助ける介助犬と訓練士を養成する全国初の専門訓練施設。5月16日、開所式を迎えました。愛称は、全国に介助犬の存在を広めた介助犬「シンシア」の名前から由来しています。
 「シンシアの丘」は、日本介助犬協会が建設、運営しています。2階建て延べ約1600平方メートルで、障がい者が寝泊まりできる訓練室(5室)や最大25匹収容できる犬舎が整備されています。
 協会は、これまで都内の賃貸ビルで犬の訓練をしてきましたが、手狭で年間最大4匹の養成が限度でした。障がいをもつ使用者と介助犬、訓練士の合同訓練は、使用者の自宅に数週間滞在して行わなければならならず、センター開設で使用者が住み込みで共同訓練をできるようになり、年間10匹程度の養成が可能になりました。訓練士を目指す研修生も泊まり込んで研修を受けられます。
参考写真 事務局長で医師の高柳友子氏の説明によると、介助犬を必要とする障害者は国内で約1万5000人。介助犬は全国で47匹(4月1日現在)しかおらず、その認知度を高めるとともに、介助犬を育てる体制の整備が必要であると強調されました。
 茨城県においては、いまだ介助犬は一頭もおらず、その育成の助成制度もできていません。介助犬は、使用者の障がいの部位や程度によって訓練の内容も変わってくるため、医師や作業療法士・理学療法士などとの連携にも重要になってきます。今後の課題として、首都圏にも介助犬の育成拠点の整備が必要であり、それに対する資金の支援や公的なバックアップのあり方を検討していく必要があると実感しました。
 実際の訓練の様子を披露してくれた訓練犬は、おっとりした性格のグッデイ(ラブラドールとゴールデンのミックス)。お金を落としたときに拾ったり、冷蔵庫からペットボトルを取り出したり、靴や靴下を脱がせる介助をしてくれました。携帯電話探しでは、広研修室の内部をくまなく歩き回りながら無事発見すると、大きな拍手がわき起こりました。「別にきちっと、手際良く仕事をこなす必要はない。その犬のスピードで楽に、使用者の介助ができれば良い。介助犬はほめて、ほめて、使用者とともに成長するもの」との高柳事務長の言葉に納得しました。
(写真上:訓練のデモを披露してくれたグッデイ、写真下:シンシアの丘のスタッフの皆さんと訓練犬たちが見送ってくれました)
参考:日本介助犬協会