7月9日の衆院政治倫理確立・公選法改正特別委員会で公明党の大口善徳衆議院議員は、民主党の鳩山由紀夫代表の資金管理団体の個人献金偽装問題について追及しました。
 大口議員は、資金管理団体の収支報告書について、虚偽記載の修正により削除された70人のうち、複数の人が「私は献金している」と話しているとの朝日新聞(2009年7月9日)などの報道を取り上げ、「“宙に浮いた献金”だ。いかにいい加減な調査か。岡田(克也民主党)幹事長は『納得した』と言っているが、何をどう調べたのか」と述べ、鳩山氏の調査の信憑性に疑念を呈しました。
 その上で、大口議員は、収支報告書(2005年〜07年)で削除された献金者名が、04年以前分の報告書にも記載されているため「虚偽記載の可能性が非常に濃い」と指摘し、00年〜04年の5年分の報告書明細の提出を要求。併せて、名前を出す必要のない5万円以下の「匿名寄付」も明細の提出を求めました。
 また、大口議員が「いろんな疑念に(鳩山氏は)詳しく説明すべきだ」と迫ったのに対し、政治資金規正法改正案提出者の民主党議員も、一般論と断りながらも「全ての疑念には情報を開示し、答える責務が国会議員にはある」と答えました。
 一方、質問に立った自民党議員は偽装献金者に関し「寄付がなかったのに寄付金控除のための書類が(総務省から)交付された。脱税の疑いがある」とし、05年〜07年で延べ75人、計1186万2000円に上ると指摘。総務省側も事実関係を認めたため、“脱税行為、詐欺行為”として国税当局に調査を行うよう求めました。
 それに先立ち、鳩山氏側に献金をしたとして、所得税の控除を受けるための書類交付手続きが行われていた69人の実名が、与党の情報公開請求により明らかになりました。
総務省、税控除申請者名を公表 鳩山代表献金問題
朝日新聞(2009/7/10)
 民主党の鳩山由紀夫代表の虚偽献金問題で、鳩山氏側に献金をしたとして、所得税の控除を受けるための書類交付手続きが行われていた69人の実名が9日、明らかになった。この中には、鳩山氏が「献金の事実はなかった」として献金記録を削除した53人が含まれる。献金実態がないのに税の控除を受けていた場合は不正還付の疑いがある。
 自民党の菅義偉選挙対策副委員長が衆院倫理選挙特別委員会の質問に先立ち情報開示を要求、総務省が明らかにした。
 69人については、05〜07年の3年間に4661万円を献金したとして、鳩山氏の資金管理団体によって書類交付手続きがとられていた。このうち53人、1186万円分は、献金がなかったとして修正により記載が消えた人たちだった。
 交付された書類をもとに、何人の人が実際に所得税控除の手続きをしたのかは明らかになっていない。国税庁は国会答弁の中で「一般論」としつつ「課税上問題があれば、法令等に照らして適正に取り扱うことになる」と述べた。
 不正還付の可能性について鳩山氏は9日、「脱税などということは基本的にあり得ないと確信している」と記者団に語った。