今年(平成21年)4月から、「教員免許更新制度」がスタートしました。この制度は、幼稚園から高校までの現役の教員が対象。今年4月以降に教員免許を取得した人について10年の有効期限を設定し、10年ごとの教員免許の更新を義務づけるものです。それ以前に免許を得た人は、35歳、45歳、55歳を区切りとし、それぞれ期限までの2年間に、新たな免許取得者と同じく大学などで講習を受けることを義務づけています。こうした講習を修了しないと、教員免許が無くなり教壇に立てなくなります。
この教員免許更新制度は、質の高い教員の確保や養成、授業力や生徒指導力など教育現場で必要とされる力の育成、公正な人事制度の構築などが目的とされています。また、その時々で教員として必要な資質能力が保持されるよう、定期的に最新の知識技能を身に付けることで、教員が自信と語りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ることを目指すものと考えられています。
一度免許を取れば、一生教壇に立てるという今までの制度自体に問題があったと、私は考えます。10年間の更新制度は、至極当然な制度改革です。
ただ制度の運用にあたっては現場の教員の負担増にならないような配慮が必要です。具体的には教育現場に即した充実した講習の実施や受講の負担費用のあり方の検討、過疎 地域を含めてどの地域においても一定以上の内容の講習が受けられるような環境整備、弾力的な履修形態の検討等が考えられます。このような対応を通し教員にとってよりよい、ひいては教育の質の向上をもたらす制度運用が求められます。
(写真は武庫川女子大学での更新講習の模様)
この教員免許更新制度は、質の高い教員の確保や養成、授業力や生徒指導力など教育現場で必要とされる力の育成、公正な人事制度の構築などが目的とされています。また、その時々で教員として必要な資質能力が保持されるよう、定期的に最新の知識技能を身に付けることで、教員が自信と語りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ることを目指すものと考えられています。
一度免許を取れば、一生教壇に立てるという今までの制度自体に問題があったと、私は考えます。10年間の更新制度は、至極当然な制度改革です。
ただ制度の運用にあたっては現場の教員の負担増にならないような配慮が必要です。具体的には教育現場に即した充実した講習の実施や受講の負担費用のあり方の検討、過疎 地域を含めてどの地域においても一定以上の内容の講習が受けられるような環境整備、弾力的な履修形態の検討等が考えられます。このような対応を通し教員にとってよりよい、ひいては教育の質の向上をもたらす制度運用が求められます。
(写真は武庫川女子大学での更新講習の模様)
具体的な免許更新講習の内容は、大学などの教育期間で、「30時間以上」の講習が義務づけられます。「教職に関する省察」「子どもに関する理解」などの必修領域が12時間、「教科専門」「生徒指導」など選択領域が18時間という構成です。
免許更新講習は、免許更新期限前の前年度から受講できることになっています。つまり、10年ごとに2年間かけて30時間以上の講習を受けることになります。免許更新講習では終了時に必ず筆記や実技による修了認定試験が行われます。その結果は5段階で評価され、最低ランク(60点以下)ならば修了認定を受けられず、教員免許が失効します。更新期限までならば何回でも講習を受けなおすことができます。また、修了認定のレベルについても文科省は「真面目に受講していれば、まず落ちることはない」と説明されています。
しかし、問題点がないわけではありません。教員免許の更新講習は、平日の勤務時間中に受けることは許されていません。このため、免許更新講習は、夜間、休日、夏休みなどの長期休業期間中に開催されることになっています。多くの講座が、この夏休みからスタートすることになっています。教員にとっては、10年に一度のこととはいえ、学期中の平日以外の時間に免許更新講習を受けなければならず、それでなくても多忙化が進んでいる中で、その負担は大きなものがあります。
教育現場に政治を持ち込む日教組と民主党
日本最大の教員組合である「日教組」は、教員免許更新制度について、「私たち日教組は、教員免許更新制の導入試行期間を延期し、『教員免許更新制が教員の資質向上に役立つのか』、『教育活動にどのような影響を及ぼすのか』などの課題をきちんと検証し、実証的なデータをもとに、制度のあり方を慎重に議論すべきと訴えています」との見解をホームページで公開しています。
さらに、政権交代を狙う民主党は、「養成課程に関する規定は何も無く、これで教員の資質及び能力の向上が図られるのか大いに疑問。むしろ、教育現場が疲弊するだけの内容と言え、問題の多い法律である。民主党は、教員が職責を全うできるように、教員免許制度を抜本的に見直すとともに、教員の養成と研修の充実を図る」としており、制度自体の廃止を唱えています。
今、学校の職員室では、「民主党が政権を取ると、教員免許更新制度は1年ですぐ無くなるから、あわてて講習を受ける必要はない。講習に行く暇があるなら、選挙で民主党を勝たせるために運動した方がよい」と、組合の活動家は一般の教職員に囁いているといわれています。
朝日新聞(2009/7/15付け)は「教員免許更新、大学講習ガラガラ 228講座中止に」との見出しの記事を掲載し、「15日現在で39大学が計228の講習の開催を中止したことが文部科学省の調査でわかった」と、更新研修が不人気なことを伝えています。
この朝日新聞の記事の目的はよく理解できませんが、茨城県の更新研修の申し込み状況を、県教育庁に問い合わせてみると、茨城県の受講対象者数は約2,100名で、6月19日現在の申込み状況は、必修講習1,429名、選択講習1,381名となっています。大学等9教育機関(茨城大学、筑波大学、筑波技術大学、茨城キリスト教大学、常磐大学、流通経済大学、茨城女子短期大学、つくば国際短期大学、水戸短期大学)で開催される講座の定員と申込者数は、必修講習が定員2,143名のところ申し込み1,613名(75.3%)、選択講習が定員2,470名で申し込みが1,487名(60.2%)となっています。申込者が少なく中止になる講座などはないようです。今年から始まった、初の試みにある程度の試行錯誤は付きものだと思います。
教育の現場に政治を持ち込む、日教組や民主党の戦略には強い違和感を感じるのは、私ひとりではないと思います。
免許更新講習は、免許更新期限前の前年度から受講できることになっています。つまり、10年ごとに2年間かけて30時間以上の講習を受けることになります。免許更新講習では終了時に必ず筆記や実技による修了認定試験が行われます。その結果は5段階で評価され、最低ランク(60点以下)ならば修了認定を受けられず、教員免許が失効します。更新期限までならば何回でも講習を受けなおすことができます。また、修了認定のレベルについても文科省は「真面目に受講していれば、まず落ちることはない」と説明されています。
しかし、問題点がないわけではありません。教員免許の更新講習は、平日の勤務時間中に受けることは許されていません。このため、免許更新講習は、夜間、休日、夏休みなどの長期休業期間中に開催されることになっています。多くの講座が、この夏休みからスタートすることになっています。教員にとっては、10年に一度のこととはいえ、学期中の平日以外の時間に免許更新講習を受けなければならず、それでなくても多忙化が進んでいる中で、その負担は大きなものがあります。
教育現場に政治を持ち込む日教組と民主党
日本最大の教員組合である「日教組」は、教員免許更新制度について、「私たち日教組は、教員免許更新制の導入試行期間を延期し、『教員免許更新制が教員の資質向上に役立つのか』、『教育活動にどのような影響を及ぼすのか』などの課題をきちんと検証し、実証的なデータをもとに、制度のあり方を慎重に議論すべきと訴えています」との見解をホームページで公開しています。
さらに、政権交代を狙う民主党は、「養成課程に関する規定は何も無く、これで教員の資質及び能力の向上が図られるのか大いに疑問。むしろ、教育現場が疲弊するだけの内容と言え、問題の多い法律である。民主党は、教員が職責を全うできるように、教員免許制度を抜本的に見直すとともに、教員の養成と研修の充実を図る」としており、制度自体の廃止を唱えています。
今、学校の職員室では、「民主党が政権を取ると、教員免許更新制度は1年ですぐ無くなるから、あわてて講習を受ける必要はない。講習に行く暇があるなら、選挙で民主党を勝たせるために運動した方がよい」と、組合の活動家は一般の教職員に囁いているといわれています。
朝日新聞(2009/7/15付け)は「教員免許更新、大学講習ガラガラ 228講座中止に」との見出しの記事を掲載し、「15日現在で39大学が計228の講習の開催を中止したことが文部科学省の調査でわかった」と、更新研修が不人気なことを伝えています。
この朝日新聞の記事の目的はよく理解できませんが、茨城県の更新研修の申し込み状況を、県教育庁に問い合わせてみると、茨城県の受講対象者数は約2,100名で、6月19日現在の申込み状況は、必修講習1,429名、選択講習1,381名となっています。大学等9教育機関(茨城大学、筑波大学、筑波技術大学、茨城キリスト教大学、常磐大学、流通経済大学、茨城女子短期大学、つくば国際短期大学、水戸短期大学)で開催される講座の定員と申込者数は、必修講習が定員2,143名のところ申し込み1,613名(75.3%)、選択講習が定員2,470名で申し込みが1,487名(60.2%)となっています。申込者が少なく中止になる講座などはないようです。今年から始まった、初の試みにある程度の試行錯誤は付きものだと思います。
教育の現場に政治を持ち込む、日教組や民主党の戦略には強い違和感を感じるのは、私ひとりではないと思います。