知事候補へひとことの第3弾は、行財政改革の問題です。これも、長塚智広氏の公約をもとに検討します。
県の「出資法人経営評価」で改善措置が必要とされた「茨城県開発公社」「茨城県土地開発公社」など16法人等は4年以内に原則廃止を検討するプロジェクトチームを結成します。

 まず16法人がどのような法人なのかを明確にしなくてはいけません。
参考写真 緊急の改善措置が必要な法人は、(財)茨城県開発公社、茨城県住宅供給公社、茨城県土地開発公社、鹿島都市開発(株)、(株)メディアパークつくば、(財)茨城県勤労者余暇活用事業団の6法人。その内、、(株)メディアパークつくばは既に清算が完了しています。
 改善措置が必要な法人としては、(財)茨城県消防協会、(財)茨城県環境保全事業団、(財)茨城県看護教育財団、(社福)茨城県社会福祉事業団、(財)いばらき腎バンク、(財)茨城県勤労者育英基金、(財)霞ヶ浦漁業振興基金協会、(財)茨城県教育財団、(財)グリーンふるさと振興機構、(株)茨城放送の10法人が該当します。
 単に改善が必要な16団体と言っても、400人以上の知的障がい者を受け入れている「社会福祉事業団」、公設の最終処分場エコフロンティアかさまを運営する「環境保全事業団」、県立歴史館や生涯学習センターの指定管理者である「教育財団」などは廃止することは出来ません。「茨城放送」を4年以内に閉局するといったら県民の皆さまから大きな批判をいただくでしょう。16団体の詳細を勉強されて「廃止」と主張されたか疑問が残ります。多分、長塚氏はこの16団体を実際に見たことも、行ったこともないのではないでしょうか。
 さらに問題を複雑にしているのは、県が債務保証や損失保証契約をしている法人です。開発公社、住宅供給公社、土地開発公社、環境保全事業団の4法人は、法人が行った借り入れに対して、簡単に言えば茨城県が保証人となっています。これらの団体を解散させると、金融機関は一括して融資の返済を迫ります。資産を100%処分しても、そのマイナス分は全て県の負担となり、その負担増によって県は「財政再建団体」や「早期健全化団体」に転落する恐れがあります。茨城県が第2の夕張となってしまいます。
 「財政再建団体」や「早期健全化団体」に指定されると、県職員の大幅な給与カットが必要となり、私学助成やマル福制度など県単独の事業は原則できなくなります。
 長塚氏が提案する「教育クーポン」などは、その実施が国から許可されません。
 まず廃止ありき(ゼロベース)での改革は、分かり易いかけ声ではありますが、実際は今年と言わざるを得ません。いかに、早期にソフトランディングさせるか、その知恵と工夫が望まれているのです。
平成20年度出資法人等経営評価結果(平成21年2月25日)
緊急(財)茨城県開発公社 平成19年度においても企業誘致を積極的に進め、プロパー工業団地40.2haを分譲したことが主因となって14期ぶりの黒字になったが、県の損失補償借入は1、338億に達しており、借入の圧縮は急務である。引き続き、戦略的な企業誘致を推進し早期分譲に法人を挙げて取り組んでいく必要がある。
 福祉施設事業については、「いこいの村涸沼」の収支赤字は深刻であり、事業自体の見直しを行うとともに、公社ビル等の固定資産の有効活用を検討し、引き続き、諸経費の節減、資金の調達等に努めていく必要がある。
 新たに茨城空港ターミナルビル事業の実施にあたっては、法人の極めて厳しい経営状況を踏まえ事業の採算性などを十分精査した経営に努められたい。
茨城県住宅供給公社 平成17年度に実施した減損処理による約461億円の債務超過解消及び経営健全化のため、県は財政的支援を実施している。(平成19年度末債務超過額 約407億円)平成19年度の分譲中団地の販売実績は、目標に対し106.5%となっているが、大規模3団地については、公募したものの事業者選定まで至らなかった。引き続き、民間事業者との共同事業の推進等により、改革工程表の目標達成に向け公社と県は一体となって保有土地の処分に全力で取り組む必要がある。
 また、ケア付高齢者賃住宅事業については、民間への譲渡に向け諸手続きを進めていく必要がある。
 さらに、平成20年度決算から地方住宅供給公社会計基準に低価法が強制適用されることから、販売用土地の再評価に伴う損失等の対応について検討していく必要がある。
茨城県土地開発公社 平成17年度に実施した減損処理による約97億円の債務超過の解消及び経営健全化のため、県は財政的支援を実施している。(平成19年度末債務超過額約64億円)平成19年度のひたちなか地区・代替地等保有土地の処分状況は、目標の29%の実績であり、長期借入金の返済は9%の達成率となっている。
 しかし、ひたちなか地区の処分土地については、平成20年度に売却先の都合により契約解除されたことから、再公募に向け早急に取り組むとともに、代替地等についても改革工程表の目標達成が確実なものとなるよう公社と県は一体となって全力で取り組んでいく必要がある。
鹿島都市開発(株) 2期連続で当期利益を計上したが、平成17年度に実施した減損処理により約57億円の減損損失が発生し、約64億円の債務超過という厳しい状況は変わらないことから、引き続き売上の確保や経費削減に努められたい。
 特に、ホテル事業で抜本的な改善が図られていないため、赤字事業を抜本的に改善する必要がある。
 改革工程表の目標達成は当然のこととし、引き続き営業強化と経費削減等に努められたい。
(株)メディアパークつくば平成20年6月30日付けで解散したことから、清算手続きを適切に進められたい。
(財)茨城県勤労者余暇活用事業団 燃料費等の価格高騰などによりコストがかさみ利益の確保が難しくなっていることから、平成21年度末の累積欠損金解消達成に向け、さらなる経費節減と予算の効率的執行に努められたい。
 平成19年度に設置した県関係各課や有識者によるやみぞあり方検討会における検討状況等を踏まえ、組織及び施設のあり方・方向性を早期に決定し、施設の老朽化に対する抜本的対策を図られたい。
改善
措置
(財)茨城県消防協会 高齢化の進行、市町村合併に伴う広域化など消防団組織を取り巻く環境は大きく変化しており、適切な対応策の実施が重要である。
 平成19年度に策定された「茨城県消防広域化推進計画」を踏まえた県と市町村との役割分担等の見直し、公益認定に向けた対応に努められたい。
(財)茨城県環境保全事業団 公共処分場「エコフロンティアかさま」の運営については、ゴミの減量化やリサイクル化など地球環境保全意識の高まりから、廃棄物受入量が当初計画を大きく下回っており、平成18年度(開業2年目)から償還が始まった長期借入金を短期借入により返済するという厳しい経営状態となっている。
 最終処分場を持たない市町村の焼却灰や継続的な産業廃棄物排出事業者の受入量の増大を図るとともに、外注委託費の見直しや溶融炉の効率的運転などによりコストを削減し、借入金返済原資を確保する必要がある。
 事業活動からでは長期借入金の償還ができない現状にあることから、長期収支計画の見直しを実施して経営改善を図ることが急務である。
(財)茨城県看護教育財団 平成18年度から授業料を上げ、自主財源の充実を図ったところであるが、今後も経費の縮減に努め、県・市からの補助金に依存しない自立的な運営形態を目指すべきである。
 引き続き、「運営改善アクションプラン」に基づく取組みを積極的に推進するとともに、民間委譲を含む法人のあり方等の方針を早期に決定する必要がある。
(社福)茨城県社会福祉事業団 運営では、諸経費の見直しにより県からの超過負担の段階的削減に対応している。平成19年度は、早期退職の促進や本部事務局の「県立あすなろの郷」への移転等により、約7千万円の超過負担を削減したが、未だ県からの超過負担が政策的経費を除いても約4億8千万円と高額になっていることから、更なる運営の効率化・経費の削減が必要である。
 「県立あすなろの郷」については、指定管理者の公募制に移行しており、他の社会福祉法人との競合も念頭のうえ、より効果的・効率的な事業運営に努められたい。
(財)いばらき腎バンク 平成19年4月から、事務局を筑波メディカルセンター病院(県から)に移管したが、役員全員が非常勤であり、かつ、事務局員も委託先病院職員の兼務となっていることから、法人としての組織体制が未整備といえる。
 公益法人制度改革への対応に当たり、法人組織のあり方、事業の進め方を見直す必要がある。
(財)茨城県勤労者育英基金 教育ローン利用者に対する利子補給は、県民の教育費負担軽減に寄与していることから、引き続き県民に対し制度の趣旨と仕組みの周知に努め、利用の拡大を図られたい。
 効果的な資金運用に努めた結果運用益は増加したが、依然として財政面及び組織については中央労働金庫に依存した経営体質であり、自立的な運営をしている法人とは言い難い。法人のあり方等について、中央労働金庫をはじめ、関係団体と協議しながら検討を進め、公益法人制度改革に適切に対応されたい。
(財)霞ヶ浦漁業振興基金協会 基金を取り崩しながら漁場環境改善等の事業を行っており、運営事務は霞ヶ浦漁業協同組合連合会に委託している。中長期計画に基づき、新たに外来魚駆除事業等も実施するなど、地元ニーズも組み入れ事業展開を図っている。
 引き続き、役員報酬の削減、事務委託費の削減など経費の節減に努めるとともに、公益法人制度改革を機に法人のあり方について検討されたい。
(財)茨城県教育財団 県からの派遣職員数は、平成19年度137名が平成20年度117名に削減されたが、未だ100名を超す状態である。
 平成20年度に廃止が決定された吾国山洗心館同様、施設自体の必要性を見直すことが重要であり、また、指定管理の諸条件については、民間事業者の活用が可能となるよう、参入障壁となるような条件の見直しが必要である。
 なお、平成19年度に教育財団のあり方に係る内部検討会議を設置して平成20年度まで検討を行うこととしているので、今後法人と県が一体となって、組織のスリム化や臨時的任用職員の採用、民間調査機関の導入など、業務の質を確保しながら経費の大幅削減に取り組む必要がある。
(財)グリーンふるさと振興機構 現在、やむを得ない措置として基本財産の取崩しによる財団運営を行っているので、平成22年度予定の法人存廃を含めた再点検を見据えて、今年度開校の「いばらきさとやま楽校」による重点施策事業の総合的・一体的な推進など、より効果的・効率的な事業運営に努められたい。
(株)茨城放送 平成16から18年度までの3期については、連続して経常利益を確保してきたが、平成19年度は売上高が大幅に減少し営業損失・経常損失を計上、累積損失は57百万円と増加した。
 離脱スポンサーの増加、新規開拓の困難性など多くの営業上の課題はあるが、地域における高い聴取率を前面に、引き続き営業強化を図られたい。
 経費(売上原価・販管費とも)については、平成18年度頃から削減が難しい状況になってきており、引き続き経費全般の見直しを図ることが必要である。