中止発表から1カ月以上、地方無視の政権運営に批判の声
参考写真 10月27日、八ッ場ダムの中止問題について、沿川の橋本昌茨城県知事ら1都5県の知事は、前橋以内で前原国土交通大臣と直接話し合いの場を設けました。これには、石原慎太郎東京都知事、橋本昌茨城県知事、福田富一栃木県知事、大澤正明群馬県知事、上田清司埼玉県知事、森田健作千葉県知事と国土交通省側から前原誠司国土交通大臣、馬淵澄夫国土交通副大臣、三日月大造国土交通大臣政務官が出席しました。
 前原国交相は、「マニフェストに掲げた政策を忠実に実行していくとの立場を堅持しつつも、八ッ場ダムについては、治水・利水両面で再検証したい」と語りました。また、「関係都県が懸念している点について、代替案を提示したい。できるだけダムによらない治水・利水のあり方を示していきたい」と従来のダム中止に方針を堅持しながら住民との話し合いを進めたい意向を示しました。
 これに対して群馬県の大沢知事は、「あまりにも早い段階で中止と発言したため、地元がかたくなになった。地元のために今後ダムの検証を進め、透明性のある答えを出してほしい」と述べ、建設中止の撤回を求める考えに変わりはないことを強調しました。
 また、東京都の石原知事が「再検証の結果によっては建設中止を取り消すこともあるのか」と質問しました。前原国交相は、「ダムに頼らない代替案を示す考えだ」と答え、ダムに代わる治水対策などを示していく考えを示しました。
 橋本知事は、「茨城県では、平成19年度に基本計画の第3回目の変更に当たり、八ッ場ダムの必要性を県議会、県民に強く訴え、理解を得てきた。それを唐突に中止と言われても困惑する」「民主党のマニフェストについては、国民はトータルとしてみて、支持したのだと思う。しかし、個別の政策については、各方面の意見を十分に聞いたうえで、実施を検討すべき。八ッ場ダムを始めとする他の施策についても検証して欲しい」「ゲリラ豪雨や干ばつなど異常気象が多発している。ダムによらずに森林の保水力などで防ぐことも1つの手法だが、ダムによる流量の調整という手法も併せて使うということも大事なのではないか」などと、八ッ場ダム中止については再度検討するよう求めました。
 会合のあと前原大臣は、記者団に対し、「知事の皆さんと会うことができて少し前進したと思う。ダムを続けるかどうかのものさしをつくり、地元の人に説明していきたい」と述べました。
 一方、各都県の知事の会見で、大沢知事は「大臣と話し合いができたことは有意義だった。まだまだ曖昧な所もあるがしっかりと八ッ場ダムの治水や利水について、検証する方向性を出してもらったことは大きな方向転換だ。各知事と議論をしながら問題の解決に向けて進んでいきたい」と述べました。
 東京都の石原知事は、前原大臣が示した検証の方針について「大臣は中止を掲げた論拠について一向に示しておらず、検証の結論が出る前に我々に代替案の論拠を説明する必要がある。それをさせることが我々の義務だ」と述べました。
 千葉県の森田知事は、「今後、本気になって再調査などしてると何年かかるのか。いつまでに何をやるのかが明確になっていない」と批判したうえで、「成田空港の問題もそうだが、急に言われると地方は動揺し、わけがわからない状態になってしまう」と述べて前原大臣の政策転換の進め方の問題点を指摘しました。
 橋本知事は、「大臣との会談ができたのは、有意義であった」としながらも、「再検証の結果、中止の中止があることを期待している」と見直しへの期待感をにじませました。
(このブログ記事はNHKの報道内容と茨城県の発表した内容より構成しました)