土浦・龍ケ崎竜巻検証高度なシステムいきず
朝日新聞(2009年10月29日)
土浦市や龍ケ崎市などで8日に起きた竜巻被害。気象庁などは竜巻発生を素早く把握し、警戒を促すシステム作りを進めてきたが、今回は注意報の発表が未明だったため、せっかくの高度なシステムはいきなかった。台風の暴風域が遠く、市民の警戒感も薄かった。自然災害の情報伝達方法に大きな課題を残したと言える。(今直也)
竜巻は10月8日午前5時ごろ、土浦市宍塚と龍ケ崎市佐沼町から同市八代町にかけて発生し、計6人が負傷、住宅1棟が全壊、16棟が半壊、203棟が一部破損した。被害は、土浦市で長さ約2・8キロ、幅200〜300メートル、龍ケ崎市で長さ約6キロ、100〜200メートルの帯状に分布していた。気象研究所や水戸地方気象台などは発生直後に現地調査を実施し、突風は「竜巻」だったと推定した。
風速のレベルを示す「藤田スケール」で、6段階中、2番目に弱い「F1」に当たり、約10秒間の平均で毎秒33〜49メートルの突風が吹いたとみられる。
竜巻が発生したころ、台風18号は関東へ向かっていたものの、その中心は両市から300キロ余り離れた愛知県の知多半島付近にあり、暴風域は伊豆半島あたりまでだった。県内が暴風域に入ったのは、竜巻発生後約3時間たった午前8時ごろだった。気象庁の海老原智予報官は「台風が発生すると暴風域ばかりに注意がいってしまうが、竜巻は暴風域から離れていても発生する」と話す。06年9月に宮崎県で発生し、死者3人を出した竜巻も台風の暴風域外で起きた。
同庁は、同年に相次いだ竜巻災害を受けて予測技術を高め、竜巻発生の1時間前までに予測する「竜巻注意情報」を08年3月に導入した。10年度には、10分単位で10キロ四方が把握可能な「竜巻ナウキャスト(仮称)」の準備を進めている。
土浦、龍ケ崎両市の竜巻でも同庁は午前3時46分に「茨城県竜巻注意情報第1号」を発表。同4時36分には「第2号」も出していた。しかし、大半が就寝中の時間帯のため、注意報が機能したとは言い難い。
今回のような竜巻でもシステムの利用が進むように、同庁は携帯電話への注意報の送信や、ナウキャストを携帯電話で閲覧できるような仕組みを検討中だという。
気象庁によると、国内では年平均で約17個の竜巻が発生しています。沿岸部での発生が目立ちますが、内陸部では関東平野での発生が多いといわれています。平坦な地形のために、地表の起伏による抵抗が小さいために起こりやすいと説明されています。
竜巻の特徴は、継続時間が短く、被害域が狭いことです。しかし、いったん発生すると甚大な被害を与えます。水戸地方気象台によると、竜ケ崎の竜巻は午前4時50分ごろ、土浦では午前5時ごろ竜巻が発生。これに先立ち千葉県九十九里町でも午前4時半ごろに竜巻が発生していました。水戸気象台の現地調査では、竜ケ崎市佐沼町では長さ約4キロ、幅200メートルの帯状で竜巻の痕跡があり、土浦市宍塚でも長さ約1.6キロにわたり被害が確認されています。
気象庁は今回の竜巻に関する注意情報を、当日の午前2時半ごろから茨城県を含む関東全域に順次出していました。しかし、深夜だったこともあり、、あた竜巻注意情報自体が住民にあまり認知されていなかったために、予防効果があったか疑問視されています。
2008年3月から気象庁は、竜巻発生の恐れがある1時間前を目安に、「竜巻注意情報」の運用を開始しました。しかし、全国で今年発表した104の竜巻注意情報のうち、有効時間内に実際に観測されたのは今回を含めわずか5件のみに止まっています。一方、注意情報が出されなかった地域で16件、竜巻の発生が確認されています。
気象庁は2010年度から、竜巻の起こりやすさに関するきめ細かい予報「竜巻ナウキャスト」をスタートさせます。全国を10キロ四方に区分し、それぞれの地域で竜巻の発生可能性がどのくらいあるかをホームページ上に表示します。予報確率が最大でも10%程度と低いという課題はあるものの、屋外作業現場での早めの避難などを通じて被害の軽減に役立つことが期待されています。
「竜巻ナウキャスト」は雨雲の動きや風の向きを測定できるドップラーレーダーなどの情報を基に、竜巻やダウンバーストなど積乱雲に伴い発生する突風の起こりやすさを測定するもので、発生可能性が1〜2%なら「発生確度1」、5〜10%程度とより発生しやすいとみられれば「発生確度2」の二段階で予報を出すことにしています。
「竜巻ナウキャスト」の情報はホームページで公表されますが、屋外の人などには伝わらない可能性があります。今回の事例のように、深夜早朝の場合もどのように住民に伝えていくかが大きな課題です。気象庁は、報道機関や民間気象情報会社による利用を想定しており、(1)テレビやラジオでナウキャスト情報を伝え注意を促す、(2)気象情報会社が携帯電話に送るサービスを始める、などの形で活用されることが望まれます。
気象庁は2010年度から、竜巻の起こりやすさに関するきめ細かい予報「竜巻ナウキャスト」をスタートさせます。全国を10キロ四方に区分し、それぞれの地域で竜巻の発生可能性がどのくらいあるかをホームページ上に表示します。予報確率が最大でも10%程度と低いという課題はあるものの、屋外作業現場での早めの避難などを通じて被害の軽減に役立つことが期待されています。
「竜巻ナウキャスト」は雨雲の動きや風の向きを測定できるドップラーレーダーなどの情報を基に、竜巻やダウンバーストなど積乱雲に伴い発生する突風の起こりやすさを測定するもので、発生可能性が1〜2%なら「発生確度1」、5〜10%程度とより発生しやすいとみられれば「発生確度2」の二段階で予報を出すことにしています。
「竜巻ナウキャスト」の情報はホームページで公表されますが、屋外の人などには伝わらない可能性があります。今回の事例のように、深夜早朝の場合もどのように住民に伝えていくかが大きな課題です。気象庁は、報道機関や民間気象情報会社による利用を想定しており、(1)テレビやラジオでナウキャスト情報を伝え注意を促す、(2)気象情報会社が携帯電話に送るサービスを始める、などの形で活用されることが望まれます。