2008年9月、世界的な金融危機の引き金となったアメリカの大手証券会社「リーマンブラザーズ」の経営破たんの影響を受けて、閉鎖された日立市の大型複合商業施設「さくらシティ日立」の解体作業が正式に始まりました。
跡地は県内の大手スーパーマーケットが出店するとされています。
「さくらシティ日立」は、スーパーマーケットや雑貨店など60余りの入店し、中心市街地を活性化させる拠点として2006年11月にオープンしました。
しかし、「リーマンブラザーズ」から資金調達を受けていた運営会社「ニューシティーコーポレーション」グループが経営破たんしたため、去年10月に閉鎖。その後テナントは全て撤退し、鉄柵で被われていました。
一時は、日立商工会議所を中心に地元まちづくり会社が、抵当権を取得し再建を試みましたが、資金調達に行き詰まり今日に至りました。
こうした中、水戸市内の不動産会社が抵当権の譲渡を受け、総合商社や流通業などに土地の有効利用を提案してきました。この程、県内を中心に店舗を展開する地元大手スーパーマーケット「カスミ」との契約がほぼ固まり、現状のビルの解体準備が始まりました。
すでに、解体のための市や県への届け出は完了しており、足場の組み立てやビル内部の様々な設備の解体準備が始まっています。来年6月ごろに工事が終わり、その後、新しいスーパーマーケットが建設される見通しです。
NHKテレビの報道によると、「カスミ」では「さくらシティ日立」の跡地に新しい店舗を出店することを決め、4日、正式に土地を購入する契約を交わしたということです。「土地の引き渡しは来年になる予定で、どのような店舗にしていくかなど具体的なことは今後、検討していきます」とコメントしています。
11月4日、井手よしひろ県議は解体の準備が始まった「さくらシティ日立」を外部から視察。たまたま現場作業を監督していた不動産会社の社長から今後の予定などについて、話を伺いました。不動産会社社長は「この土地は日立のまさに顔ともいえる大切な場所です。地域のためにも、日立市のためにも地元の皆さんに喜ばれるような建物を建てたいと考えています」と語りました。

さくらシティ跡地 カスミが購入
朝日新聞(2009年11月05日)
昨年10月から閉鎖されている日立市中心部の大型商業施設さくらシティ日立の跡地が来年5月末、県内スーパーのカスミに譲渡されることが決まった。所有者のニューシティ・リアルエステイト・トレーディング12とカスミの間で4日、売買契約が締結された。カスミはスーパーを建設する計画という。
ニューシティ社の全株を保有する第一プランニング(水戸市)によると、さくらシティの建物は今週から解体工事に入った。来年5月末までに更地にし、敷地約1万1700平方メートルを一括売却する。跡地の売買をめぐっては福島県郡山市に本社を置くスーパーのヨークベニマルとカスミの2社が競っていた。売買金額は明らかにされていない。
さくらシティは前身となる百貨店の閉店後、スーパーや大型書店など40を超えるテナントが入居、06年11月に開業した。しかし、運営会社が行き詰まって昨年10月中旬までに全テナントを強制退去。カスミは閉鎖まで地下で食品スーパーを営業していた。
「さくらシティ日立」跡地 カスミが出店へ
茨城新聞(2009/11/06)
米証券大手リーマン・ブラザーズ破綻(はたん)の影響で昨年閉鎖した日立市中心部の複合商業施設「さくらシティ日立」の跡地に、食品スーパーのカスミが出店することが、5日までに分かった。
カスミ広報室によると、4日、土地所有者と売買契約を締結。スーパーを建設する計画という。
さくらシティは、既に解体工事に入っている。同施設の抵当権者である水戸市の不動産会社によると来年5月末ごろ更地になる予定で、その後、土地の引き渡しが行われるとみられる。敷地は約1万1700平方メートル。
さくらシティは衣料や飲食、書店など40以上のテナントが入居して2006年に開業した。しかし、リーマンの経営破綻後、リーマンの子会社から運転資金を借り入れていた不動産投資会社が資金調達に行き詰まり昨年9月、閉鎖が通告されてテナントは退去。10月中旬に全面閉鎖に追い込まれた。入居していたカスミは閉鎖直前まで営業を続けた。
さくらシティをめぐっては、日立商工会議所の有志が合同会社を設立し、市に購入を働きかける一方、リーマンからの抵当権取得を目指したが断念。その後、水戸市の不動産会社が譲り受けている。