4.8%成長でも消えぬ「二番底懸念」、7〜9月ピーク説も
日経新聞景気ウォッチ(2009/11/16)
内閣府が16日発表した7〜9月期の国内総生産(GDP)速報値は市場の事前予想を大幅に上回り、実質の前期比年率で4.8%増の「高成長」となった。だが国内外での経済対策効果が数字を押し上げている面は否めず、市場では「7〜9月ピーク説」が急浮上。この先の「2番底」懸念は消えない。
個人消費が2期連続で伸びた背景にはエコポイントなど政策効果による耐久消費財の伸びがある。来年度以降の消費の「先食い」が指摘される分野だ。設備投資のプラス転換は明るい材料だが、前政権下の公共事業の押し上げ効果は早くもはげ落ち、輸出の好調も海外の政策効果が無視できない。追加経済対策の必要性と財政規律の確立のジレンマに悩む政府にとって、経済政策運営の難しさは増す。
実質の高成長とは裏腹に、名目成長率は6期連続のマイナス。物価下落が背景だ。デフレ懸念にどう向かいあうのか。「来年4〜6月期にマイナス成長になる可能性がある」(幹部)とみる日銀にとっても、重い課題が突きつけられている。
日本経済は、このままでは今年10〜12月の第4四半期に景気は腰折れする可能性が高いといわれています。鳩山政権によるプラスの経済効果とマイナス効果を計算すると、恐らく2兆円以上のデフレ効果があると指摘されています。
経済を支えているのは個人消費と財政、輸出の三つですが、現状のままでは三つとも崩落しかねません。個人消費については、エコカーやエコ家電といった需要が消えつつあります。また、前政権の200年住宅や太陽光発電などのような大型・高級住宅関連の政策もまだ見えていません。また、鳩山政権による家計への直接支援は来年度以降の話です。
前政権は「成長一辺倒」と批判されましたが、現政権は「分配一辺倒」に陥っています。これでは経済全体の所得は増えません。財政についても、景気対策の一環である今年度補正予算を3兆円近く削りましたが、マニフェストの表面的な数字合わせに終始したものに過ぎず、景気へのマイナス効果は明らかです。アジア向け輸出が伸びているのは明るい材料ですが、円高によって輸出が伸び悩む可能性も出てきた。こうした点からも、景気腰折れの危機感を強くしています。
早稲田大学の若田部昌澄早稲田大学教授は、雑誌「公明」の対談記事で、「前政権も現政権もバランスを欠いている面がある。経済政策の基本は三点あります。一つは経済を成長させていくこと。成長しない経済だと失業が増えて家計も苦しくなり、技術革新に資金が回らなくなります。次に必要なのは景気の安定化です。景気には波があるので、現在のように危機が終わったかどうか明らかでない時期に、どう支えていくのかという問題がある。その下支えに必要なのが景気の安定化です。三つ目が再分配です。景気が悪化して経済が成長しなくなると一番弱い低所得層にしわ寄せが来る。その意味で再分配はきわめて大切です。この三つの座標軸で考えると、前政権は成長政策に具体策があったものの、景気の安定化と再分配については、それほどうまくいかなかった。一方、現政権には成長政策と安定化策があまりなく、再分配政策だけが突出しています。再分配することで経済成長にも景気の安定にもつながるというのが現政権の理屈です。しかし、それだけでは力不足であり、不安です。特に企業と家計を対立的に描くような構図で再分配を考えると非常に問題がある」と、明確に指摘しています。
鳩山政権のような直接的な家計支援だけでは何の問題も解決しません。結局は中小企業が元気になるような、そして本当に家計が潤うような景気回復策や成長戦略を本気で考える必要があります。そのためにも、中小企業にとって分かりやすい「指針」を示すことが政治の役割です。例えば、「環境技術立国」というような「指針」を明示することです。日本は幸いにして環境技術が非常に優れている。
日本はこの道を進むという分かりやすい指標を示し、中小企業政策や農業政策、雇用対策など、あらゆる政策が環境をキーワードにして集約されるような明快さが必要です。そうした指標があれば、中小企業も設備投資をしやすくなります。
しかし、鳩山政権は環境が大事だと言いながら、一方では、ガソリンの暫定税率廃止や高速道路無料化を主張する。これでは本当に環境立国を目指すのかどうか分かりにくいのが現状です。
今、行政刷新会議が行っている事業仕分けでも、日本が世界と競っているスパコンの開発費や学校のITC普及の予算にイチャモンをつけるなど、今後の成長部門への投資にブレーキを掛けているとしか考えられません。
鳩山政権は、今年中に国の成長戦略を明確にするとしていましたが、政権発足から3カ月のタイムラグは果たして取り返すことが出来るのでしょうか?
鳩山政権のような直接的な家計支援だけでは何の問題も解決しません。結局は中小企業が元気になるような、そして本当に家計が潤うような景気回復策や成長戦略を本気で考える必要があります。そのためにも、中小企業にとって分かりやすい「指針」を示すことが政治の役割です。例えば、「環境技術立国」というような「指針」を明示することです。日本は幸いにして環境技術が非常に優れている。
日本はこの道を進むという分かりやすい指標を示し、中小企業政策や農業政策、雇用対策など、あらゆる政策が環境をキーワードにして集約されるような明快さが必要です。そうした指標があれば、中小企業も設備投資をしやすくなります。
しかし、鳩山政権は環境が大事だと言いながら、一方では、ガソリンの暫定税率廃止や高速道路無料化を主張する。これでは本当に環境立国を目指すのかどうか分かりにくいのが現状です。
今、行政刷新会議が行っている事業仕分けでも、日本が世界と競っているスパコンの開発費や学校のITC普及の予算にイチャモンをつけるなど、今後の成長部門への投資にブレーキを掛けているとしか考えられません。
鳩山政権は、今年中に国の成長戦略を明確にするとしていましたが、政権発足から3カ月のタイムラグは果たして取り返すことが出来るのでしょうか?
経済成長戦略「雇用・環境・子ども」に重点 政府、年内策定へ
日経新聞(2009/11/14)
政府は新産業の創出などによる景気浮揚に向けて、「経済成長戦略」を年内に策定する方針を決めた。12月の来年度予算編成前にとりまとめたい考えで、「雇用」「環境」「子ども」の3分野が柱となる。来年度予算による短期的な経済対策のほか、今後10〜20年間を見据えた中長期的な成長戦略も提示する。月内にも関係閣僚による閣僚委員会を開き、議論に着手する。
菅直人副総理・国家戦略相は8日、都内で記者団に「来年度の本予算に向けて、鳩山内閣として経済成長戦略をつくれないかと思っている」と語った。国家戦略室が中心となり、関係省庁と具体策を詰める。
厳しい状況が続く雇用への対策としては、10月に政府が発表した「緊急雇用対策」に盛り込んだ介護や農林業の分野での雇用創出策を強化する。人口減少を見据え、働くことができる高齢者の再就職のあり方についても具体策を示す方向だ。