中止前提でない再検証を=八ツ場ダムで国交相に申し入れ−1都5県
時事通信(2009/11/13)
前原誠司国土交通相が再検証する方針を示した八ツ場ダム建設について、東京都など1都5県は13日、各都県知事の連名で、中止を前提とせず客観的に再検証するよう同相あてに申し入れた。各都県幹部が関東地方整備局(さいたま市)を訪れ、担当者に文書を手渡した。東京都の石原慎太郎知事は同日の記者会見で「(前原国交相は)早急に誰もが納得できる結論を出すべきだ」と述べた。
申し入れをしたのは他に埼玉、千葉、茨城、栃木、群馬の各県。
11月13日、茨城県の橋本昌県知事及び東京都知事、埼玉県知事、千葉県知事、栃木県知事、群馬県知事は、前原国土交通相あてに、「国による八ッ場ダム建設事業の再検証に対する1都5県知事の緊急申し入れ」を行いました。
国による八ッ場ダム建設事業の再検証に対する1都5県知事の緊急申し入れ
10月27日に開催された関東地方知事会議に、八ッ場ダム建設に参画する1都5県知事が集まった際、前原国土交通大臣との話し合いが行われた。この場において、大臣から、他のダムと同様に八ッ場ダムについても再検証するとの考えが示された。このため、今後、国において実施される再検証に対し、以下の事項を申し入れる。

- 国は、マニフェストに書いてあるから八ッ場ダムを中止するという結論を前提とするのではなく、予断を持たずに、多角的な観点を踏まえた客観的な再検証を行うこと。なお、再検証は当初の検証を踏まえて行われるべきものであることから、マニフェストに中止を掲げた時点での検証の内容、すなわち八ッ場ダム建設中止の方針を決定した具体的な根拠について、速やかに明らかにされたい。
- 利根川の治水・利水の安全性向上は重要性及び緊急性が非常に高く、その恩恵を受ける下流域の自治体はダムの早期完成を望んでいる。また、八ッ場ダム建設予定地の地元住民も、ダムの完成を前提とする一日も早い生活再建の実現を切望している。このため、国は、八ッ場ダム建設事業のこれまでの経緯、利根川流域における治水・利水の状況、建設効果などの個別性を十分踏まえ、早急に再検証を進め、平成22年度政府予算案の決定時までに関係都県及び地元住民の理解を得ること。
- 再検証は、中立的、専門的な分析、かつ冷静な判断のもとで行われる必要がある。このため、専門家による有識者会議を行う場合、その人選については1都5県知事の意向を反映させること。
- 利根川の治水計画は、カスリーン台風時の被害を踏まえ、これと同規模の洪水に対し、首都圏を含む流域全体の安全性の確保を目標としている。国は、再検証にあたり、目標の前提となる、治水基準点における基本高水流量を安易に見直さないこと。
- 八ッ場ダムの再検証に基づく代替案については、関係都県知事が意見を述べられることを国土交通大臣は確約しているが、関係都県の意見を十分に反映させるため、再検証の検討過程において、随時、関係都県に情報を提供するとともに協議に応じること。
- 国は、生活再建関連事業を遅れることなく実施するとともに、水没関係地域の住民の方と話し合える環境づくりを行い、早急に、大臣と地域住民の意見交換の場を設置すること。