11月24日、鳩山由紀夫首相の元経理担当秘書が、政治資金規正法違反(虚偽記載)で在宅起訴される見通しとなりました。虚偽記載の総額は3億円を超すと見られます。首相の関与や監督責任の有無が、今後の捜査の焦点となります。
 鳩山首相は、かねてより「秘書の罪は政治家が罰を受けるべきだ」と公言してきました。しかし、今回の事態については「すべて検察に任せている」と開き直っています。臨時国会の終了と共に、鳩山政権の終わりが近づいているとの見方もあります。
 マスコミ各社が伝えるところによると、鳩山首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」の政治資金収支報告書虚偽記載問題で、東京地検特捜部は、政治資金規正法違反の罪で経理担当だった元公設第1秘書を在宅起訴する方向で検討を始めました。
 虚偽記載の総額は3億円を超す見通しで、元公設秘書は任意の事情聴取に対し、おおむね認める供述をしている模様です。
 11月4日の衆議院予算委員会で、鳩山首相と自民党柴山昌彦議員との質疑が行われました。「会計責任者が起こした事件に、どのように責任を取るのか。(秘書が起こした罪は政治家が罰を受けるべきだ)」との問いに、鳩山首相は「政治腐敗の話が出た際に、このように、秘書が犯したことだから、だからこれは議員は関係ないんだというような弁明をすることは潔く思っておらなかった、それは言うまでもありません。このことは私自身にも適用できる話だと思っています」と、答弁せざるを得ませんでした。
 この答弁は、もちろん正式な議事録にも掲載され、秘書が正式に起訴された場合には、鳩山首相がどのようなけじめを付けるのか、注目されることになりました。

平成21年11月4日、衆議院予算委員会での質疑
○柴山委員 そのことを別にしても、かつて鈴木宗男衆議院議員の秘書が、いわゆるムネオハウスの受注に絡む業務妨害事件で逮捕された件について、総理は、平成十四年五月二日の夕刊フジの記事において、このように書かれています。「私は以前から鈴木議員に辞職を求めてきたが、議員の分身と言われている会計責任者の逮捕は議員本人の責任であり、改めて強く求める。」と述べておられます。
 また、土井たか子元衆議院議長の秘書による秘書給与流用事件でも、総理は、平成十五年七月二十三日のメールマガジンで、「私は政治家と秘書は同罪と考えます。政治家は金銭に絡む疑惑事件が発生すると、しばしば「あれは秘書のやったこと」と嘯いて、自らの責任を逃れようとしますが、とんでもないことです。」「秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべきなのです。」と述べておられます。
 今回、会計実務担当者が犯した事件について、あなたはどう責任をとられるのですか。
○鳩山内閣総理大臣 会計実務担当者も当然元秘書であります。私も、かつて何度もいろいろとこういった政治腐敗の話が出た際に、このように、秘書が犯したことだから、だからこれは議員は関係ないんだというような弁明をすることは潔く思っておらなかった、それは言うまでもありません。このことは私自身にも適用できる話だと思っています。
 その意味で、会計責任者に対する監督及び選任というものに対してそれなりの責めというものを感じてはおりますが、元会計実務担当者に対して会計責任者が同じように信頼し切ってしまって、この問題を全く把握しておらなかったということも問題があると思っております。私自身に全く責任がないと申し上げているつもりもありません。
 したがって、全容をまず、地検に今捜査が及んでおりますから、その捜査を進めていただいて、全容を解明していただきたい、まさにそのことを感じておりまして、そのことを通じて、すなわち、いわゆる監督責任があるかという話であろうかと思いますが、監督責任の是非に関しては、捜査が今進行しておりますから、そこにゆだねたいと思っております。
○柴山委員 それでは、当該担当者の刑事責任が確定した場合はどうするおつもりですか。
○鳩山内閣総理大臣 まだそのようなことが確定をしておるわけでありませんから、そのときに判断を申し上げたいと思いますが、仮定のお話に今ここでお答えさせていただくのは控えさせていただきたい。御容赦願いたい。