参考写真 来春3月11日に開港する茨城空港について、12月県議会でも様々な議論が交わされました。
 1日、開かれた県議会の一般質問の中では、茨城空港への定期路線の就航が現在、韓国のアシアナ航空1社にとどまっていることについて、今後の誘致活動をどう進めていくのか、県の考えが質されました。
 これについて橋本知事は、定期便の誘致に平行して、茨城空港が首都圏のチャーター便の拠点となるよう、積極的に取り組む考えを示しました。
 特に中国の航空会社は多くの場合、定期便の乗り入れに慎重で、チャーター便で需要を把握した後、定期便に移行するケースが多いとして、県は、日本にまだ定期便が就航していない中国の地方都市を結ぶ路線を中心にチャーター便の提案をしていく方針を明らかにしました。
 橋本知事は「ゴールデンウイークなどの高需要期は成田、羽田のチャーター便枠を確保しづらいため、茨城空港発のチャーター便の需要は必ず出てくる」と述べ、チャーター便を主催する旅行会社に対しても、積極的に働きかけていくと答弁しました。
 その上で橋本知事は、「このような取り組みにより空港の利用価値が認識されれば将来的には定期便の呼び水になってくれるものと期待している」と述べ、チャーター便の運航実績を積み重ねて定期便の就航につなげたいとの考えを示しました。
 茨城空港をめぐるチャーター便は、すでにJTBや近畿日本ツーリストによって、来年3月から4月にかけて台湾やハワイをあわせて11往復する便が運航されることになっています。
売店・レストランの出店問題で誤報騒ぎ?
 一方、朝日新聞は1日付の夕刊で、「茨城空港、売店なしで開港?」との記事を掲載し波紋を呼んでいます。
茨城空港、売店なしで開港? 1日1往復「赤字必至」
朝日新聞(2009年12月1日)
 来年3月に開港する茨城空港(茨城県小美玉市)のターミナルビルに、テナントとして入る予定の飲食店と売店の2社が、ビルを管理する同県開発公社に「今のままでは赤字は歴然で出店できない」と伝えた。定期便の就航が1日1往復だけでは不採算になるためだ。交渉は続けているが、飲食店も売店もないまま新空港がスタートする可能性も出てきた。
 見送りを検討しているのは、飲食店などを展開する「すぎのや」(本社・同県坂東市)と菓子製造販売の「亀印製菓」(同・水戸市)。テナント料の大幅な引き下げなどがなければ、出店する姿勢は見せていない。
 両社の出店は昨年7月に公募で決まった。すぎのやは最も広い275平方メートルと52平方メートルの2区画、亀印製菓は78平方メートルでそれぞれ営業する予定だった。賃料はいずれも売り上げの10%で、最低賃料として1平方メートル当たり2100円が設定された。ただ、正式契約は交わしておらず、「内定」のままになっている。
 1999年に示された国の需要予測では、同空港には国内4路線が入り、年約81万人が利用するはずだった。しかし、今のところ国内線はゼロ。唯一決まっているアシアナ航空・ソウル便が1日1往復しても、想定される利用者は年7万7千人と当初予測の10分の1にも満たない。
 亀印製菓によると、同空港で営業した場合、年約30万人が利用しないと採算はとれないという。担当者は「今のままでは赤字は歴然で、店は出せないとは伝えた」と話す。すぎのや関係者も「多少の赤字なら出店するつもりでいたが、今の状況ではおそらく出店はしないだろう」としている。
 現在、2社とも県開発公社から慰留されている。いずれも「地元企業」の看板を背負って空港の発展に貢献しようと考えていた経緯から話し合いには応じているが、公社からの新たな条件提示はなく、交渉は進展していないという。
 同公社は昨年5月に同空港ターミナルビルの8区画を公募し、6区画の業者が内定した。免税店と別の売店スペースの2区画への応募は当初からなかった。飲食店と売店の計3区画に応募した2社が出店を見送れば、空港ビルにはレンタカー、宅配便、コインロッカーの区画にしかテナントが入らないことになる。

 県空港対策課は、2日開かれた県議会総務企画委員会で、「茨城空港旅客ターミナルビルのテナントに関する報道について」との文書を配布し、亀印製菓株式会社
と株式会社すぎのやは、出店に向けて協議調整を行っていると確認したとの見解を公表しました。出店見送りは検討していることは事実のようですが、条件面での県開発公社との交渉を行い、出店準備を続けているというのが真実のようです。
茨城空港旅客ターミナルビルのテナントに関する報道について
企画部空港対策課(2009/12/2)
 茨城空港旅客ターミナルビルのテナントについて、「出店できない」との報道がありましたが、テナント出店企業2社の対し開発公社において本日確認したところ、事実関係は次のとおりです。
○出店企業(売店)「亀印製菓株式会社」
 現在、出店に向けて協議調整している。
○出店企業(レストラン)「株式会社すぎのや」
 現在、出店内容について協議中である。
 今週中に、出店内容に関する企画書をお持ちし打ち合わせをする。