民主党重点要望 子ども手当に所得制限、ガソリン税率維持
毎日新聞(2009/11/16)
 民主党は16日、来年度予算編成に向けて、整備新幹線や高速道路の整備など全18項目の重点要望をまとめ、小沢一郎幹事長が鳩山由紀夫首相に提出した。先の衆院選のマニフェスト(政権公約)に盛り込んだ揮発油(ガソリン)税の暫定税率撤廃方針について、税率維持を求め、方針転換を促した。暫定税率撤廃でガソリン価格は1リットル当たり約25円下がる。政府が税率を維持すれば「公約違反」との批判を招きそうだ。また、子ども手当については所得制限の導入を明記し、限度額を今後、政府・与党間で調整するよう要求した。
 民主党は16日、小沢氏や輿石東参院議員会長ら幹部4人が会談して重点要望を最終決定し、臨時役員会で了承された。その後、小沢氏らは首相官邸で鳩山首相や藤井裕久財務相らに提出した。会談で小沢氏は「党というより全国民からの要望であり、可能な限り予算に反映させていただきたい」と求め、首相は「国民の思いだと思っている」と応じた。
 重点要望では暫定税率について「現在、石油価格は安定しており、暫定税率は現在の租税水準を維持する」と明記した。一方、環境税導入に関しては「今後の検討課題とする」との表現で、慎重な姿勢を示した。子ども手当については「初年度は子供1人当たり月額1万3000円とし、地方には新たな負担増を求めない」としている。「限度額は予算編成にあたり、政府・与党で調整し決定する」との表現で、所得制限の導入を求めた。
 また、地方自治体から陳情が多かった整備新幹線は「早期開業のための必要な予算措置を講ずる」と記し、高速道路の拡充については、地方への支援策を来年6月中にまとめることなどを要求した。
 このほか、公立高校生の授業料を無償化し、私立高校生に年額12万円(低所得世帯は24万円)を助成▽農家戸別補償制度の導入▽所得税の税源移譲で削減された地方交付税相当額1.1兆円を上回る交付金制度創設▽診療報酬の引き上げ▽高速道路の無料化は社会実験を実施し段階的に進める▽国直轄事業を抜本的に見直し、地方負担金を廃止▽土地改良事業費を半減−−などを盛り込んだ。

参考写真 12月16日、民主党の小沢一郎幹事長は、鳩山由紀夫首相に2010年度予算と税制に関する重点要望を提出しました。党本部に寄せられた陳情を受け、小沢氏が最終判断してまとめた要望だそうです。民主党の代表は鳩山首相のはず、幹事長が要望書を取りまとめ、政府はそれを無視できない状況。民主党という政党は、国民に対して誰が責任を取るのだろうか、大いに疑問です。
 鳩山政権は「政策決定の内閣一元化」を掲げ、党は政策決定に関与しないのが建前だったはずです。政策面でも、結局、小沢氏が影響力を示し、鳩山政権の「小沢支配」が一層浮き彫りになりました。
 提出された要望も、今までの民主党のマニフェストから逸脱した内容も見られます。子ども手当てへの所得制限やガソリンの暫定税率維持、診療報酬の引き上げ、高速道路の無料化の段階的推進など、明らかに公約違反です。
 もし、この民主党の要望を受け入れるのならば、そもそもマニフェスト自体が実現不可能な内容なのですから、政府自らがその方針変換を国民に説明するべきです。