岡山県議会が民主政権の陳情一元化に反対の意見書
産経新聞(2009/11/30)
民主党の陳情一元化には異論も出ている 岡山県議会は30日、民主党が地方からの陳情窓口を同党県連に一元化したことに反対する意見書を自民、公明、共産などの賛成多数で可決した。
意見書は一元化を「国民の請願権を侵害することになりかねない」と批判。国に直接地方の声を聞き、受け止める仕組みの保障を求めている。
国への要望をめぐり岡山県では、石井正弘知事が23日、来年度予算編成に絡み中央省庁を訪問する意向を表明したが、民主党県連が一元化を理由に中止を要請。石井知事は「県民の要望を国に伝えるのが役目」と反発し、当初の予定通り26日に総務省と国土交通省を訪問した。

意見書では、民主党が、政府に対する陳情・要望の受付窓口を幹事長室に一元化し、同党の国会議員や地方機関、地方議会の民主党系会派を通じて受けると通達していることに対し、「『地方の声が届くのか』との不安の声が上がっている」と指摘していいます。
また、国民と同様に請願権を有する地方自治体や地方議会からの要望は、地方の声を直接政府に伝える重要な手段であることを強調。憲法16条が保障する請願権など国民の権利とともに、行政府として直接、地方の要望などを聴く仕組みを国に保障するよう強く求めています。
なお、全国都道府県議会議長会によると12月16日現在、同趣旨の意見書を可決したのは、岡山、宮城のほか、群馬、栃木、山梨、愛媛、大分、岩手、島根、香川の計10県に上っています。
(写真は、12月16日に民主党小沢幹事長が行った鳩山首相への重点要望)
税率や所得制限、実際は陳情なし 「国民からの要望」に疑義
共同通信(2009/12/18)
民主党の小沢一郎幹事長が2010年度予算編成に向けて鳩山由紀夫首相へ提出した「重点要望」のうち、目玉項目となったガソリン税の暫定税率維持や子ども手当への所得制限導入について、実際には各種団体や自治体からの陳情、要望はなかった
とみられることが17日、分かった。複数の党関係者が明らかにした。
財源確保策として小沢氏ら党の独自判断で明記したとみられ、小沢氏が「全国民からの要望」としたことに疑義が生じた格好。鳩山政権は「政策決定の内閣への一元化」を掲げているが、与党が陳情集約だけでなく、政策判断にまで踏み込んだ構図があらためて鮮明になったといえる。
民主党は11月以降に寄せられた計約2800件の陳情を仕分けし計18項目に絞り込んだ重点要望を提出した。だが党関係者によると、暫定税率維持に関しては、運輸関係団体から「仮に維持するならば、助成してほしい」との要望があった程度。子ども手当の所得制限を直接求めた陳情もなかった。このほか、重点要望の「土地改良事業費の要求額半減」についても、陳情に基づかずに盛り込まれたという。
小沢氏は10〜13日の中国、韓国訪問の前後に党内で財源確保策を検討する必要性を指摘しており、与党幹部は「いずれも小沢氏の意向で盛り込まれた」と述べた。
一方、16日に民主党小沢幹事長が、鳩山首相に行った予算・税制に関する要望では、「全国民からの要望」としていたものが、実はほとんど陳情の実態がなかったことが、マスコミ報道などで明らかになりました。
民主党のホームページによると、「冒頭、党側を代表して小沢幹事長が挨拶し、鳩山総理をはじめ政府側に対し、このような機会が設けられたことへの感謝の意を表明。そのうえで、党側には全国各地から議員、都道府県連を通じて2800件の要望が寄せられたと報告し、党が意見を聴取したものを政府に伝えるという新たな陳情システムは、国会議員、地方議員を含め『やりがいがある』、『働きがいがある』と評価されているとも述べた。報告する陳情は『党というより全国民からの要望である』と強調、できる限り予算に反映していただきたいと要請した」とあります。この言葉は、ほとんどウソであったことになります。
こうした結果を見ると、陳情一元化とは広く国民の意思を国政に反映する手段ではなく、民主党小沢体制強化の手段であることがはっきりしてきました。