12月22日から“サーバリックス”販売開始
3回接種で4万円近い負担

参考写真 12月22日、子宮頸(けい)がんを予防する国内初のワクチンが販売開始されました。
 このワクチンは、グラクソ・スミスクライン社の“サーバリックス”で、07年9月の承認申請から2年以上を経た今年10月16日に、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の薬事分科会で承認されました。
 サーバリックスは、子宮頸がん発症の原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)のうち、子宮頸がんの約7割を占める二つのウイルスの型、HPV16型と18型の感染を予防する効果があるワクチンです。6カ月の間に3回、腕の筋肉に接種すると、ウイルスに対する高い抗体が形成されます。これらの型のウイルスによる感染をほぼ100%防ぐことができます。
 世界的には既に101カ国で接種されており、1100万回の実績があるとされています。オーストラリア、イギリス、イタリアなどでは定期接種に指定されおり、10代前半の女性に公の費用負担で接種されています。
 一方、日本ではサーバリックスは10歳以上の女性を対象とした任意接種のワクチンとなり、健康保険が適用されません。接種費用が全額自己負担となってしまいます。そのため、ワクチン接種の費用は、グラクソ・スミスクライン社が公表したメーカー希望納入価格は1回当たり1万2000円となっており、3回の接種で診察費用や消費税などを合わせると実質の負担が、4万円近く掛かることになります。
子宮頸がんは予防できる唯一のがん
 子宮頸がんは世界で年間約50万人が発症し、約27万人が死亡していると試算されています。女性のがんとしては乳がんに次いで2番目に多い病気です。
 国内では、年間1万人以上が発症し、約3500人が死亡していると推計されおり、30代後半から40代に多いとされています。近年は、性交渉の低年齢化などが影響し、20〜30代の若い患者が増えています。
 ワクチンによる予防手段があるため「予防できる唯一のがん」と言われ、一連の接種で、10から20年は効果が継続します。12歳の女児全員が接種すれば、子宮頸がんにかかる人を73.1%減らすことができ、死亡者も73.2%減るとの推計もあります。
新潟県魚沼市で、来春4月から全額公費助成実現へ
 子宮頸がんワクチンの普及には、費用負担の問題があります。先にも触れましたが、全額個人負担のため4万円近い費用が掛かります。ヨーロッパやオーストラリア、カナダなど26カ国では全額公費負担または補助が行われており、接種率が9割を超える国もあります。
 一方国内では新潟県魚沼市が、子宮頸がん予防ワクチン接種への助成を来年(2010年)4月から始めることを発表しました。12月10日の市議会本会議で、公明党の渡辺一美議員の質問に答え、大平悦子市長が実施を表明したもので、自治体による助成は全国初となります。
 渡辺議員は、当選後初めての今年7月の市議会一般質問で、子宮頸がんワクチン接種への公費助成を提案。大平市長は「具体的な検討に入らせていただきたい」と答えていました。
 市長の実施表明を受け、渡辺議員と公明党魚沼支部の滝沢春美さん、山田広美さんが12月17日、市役所で市長と意見交換を行いました。市長は検討中の案として、(1)接種助成の対象者を12歳とする(約200人)、(2)費用を全額補助する(半年間に3回接種が必要で費用は3万〜4万円)――などと具体的に示しました。
 また、大平市長は、公明党がワクチンの早期承認に取り組んできたことについて「ワクチンは予防医療に非常に有効なもの。公明党も一生懸命に取り組んでおり、ありがたい」と話しました。これに対し、渡辺議員は「公明党として、国が公費助成に取り組むよう頑張っていきたい」と述べました。
 公明党は子宮頸がんワクチンの早期承認について首相への要請、国会質問、署名活動を行い、政府に強く働き掛けてきました。また、接種費用の助成についても、公明党は国会や各地方議会で強力に推進しています。
 井手よしひろ県議ら、茨城県本部でも本年春には、女性の健康フォーラムを県内一円で開催し、子宮がんへの意識啓発を働きかけると共に、各地方議会で公的助成を強く求めています。