参考写真 12月24日、茨城、埼玉、千葉、栃木、群馬など関東の地方議員有志が集まり、「農家の戸別所得補償を中心とする農政問題勉強会」が、都内の憲政記念館で開催されました。
 鳩山政権は、コメ農家への戸別所得補償制度で5618億円の要求を満額確保しました。戸別所得補償は、販売価格が生産費を下回った場合、差額を埋め合わせる制度です。支払いは、政府が定めたコメの生産数量目標を守ることが条件です。生産目標を守り減反するかどうかは、農家の自由意思に委ねられており、戸別所得補償制度は「コメの減反選択制」と言わざるを得ません。
 勉強会では、石井啓一衆院議員、石田祝稔党衆院議員の挨拶の後、農林水産省生産局総務課の戸別所得補償制度を担当する生産推進室福田室長より戸別所得補償制度の概要について説明があり、その後、約50分にわたり質疑応答を行いました。
 福田室長の説明概要は以下の通りです。
  • 平成22年戸別所得補償モデル対策は、「水田利活用自給力向上事業」と「米戸別補償モデル事業」、「戸別所得補償制度推進事業」の3つの事業からなりたっている。
  • 「水田利活用自給力向上事業」は、平成22年度予算額2167億円。水田を有効活用して、麦・大豆・米粉用米・飼料用米等の戦略作物の生産を行う販売農家に対して、主食用米並の所得を確保し得る水準を直接支払により交付する助成金(転作奨励策)です。
  • 交付単価は、麦:3万5000円(10a当たり)、大豆:3万5000円、米粉や飼料用米などの新規需要米:8万円、加工用米など2万円などです。なお、麦と大豆については所得安定対策(品目横断対策)による助成金が加算されます(麦:4万円、大豆2万7000円)
  • 交付対象は、これまで生産調整に協力しなった農家も助成対象となります。
  • 「米戸別所得補償モデル事業」は予算額3,371億円。恒常的に生産に要する費用が販売価格を上回る米に対して、所得補償を直接支払により実施します。参考写真
  • 交付単価は、定額部分(岩盤対策)が10a当たり1万5000円。変動部分(平成22年産の米の販売価格が標準的な販売価格を下回った場合、その額をもとに交付単価を算定)を足して金額となります。支払いは定額部分が平成22年中、変動部分は平成23年3月までに支払う予定です。
  • 交付対象は、米の「生産目標」に即した販売農家で「水稲共済加入者」となります。なお、交付対象面積は、農家の自家用米分として一律10aを差し引いた面積です。
  • 「戸別所得補償制度推進事業」は、現場における事業推進や要件確認を行う都道府県や市町村等に対し必要な経費を助成する事業で、予算額は76億です。
  • 都道府県段階では、市町村段階に対する説明会、指導・助言事業の推進、水田利活用自給力向上事業の「その他作物」の地域単価の設定、モデル事業効果検証アンケートの集計等が行われます。
  • 市町村段階では、農業者に対する説明会及び現地指導(本格実施準備分含む)、実施計画書の配布・回収、データ入力(雇用人件費)、作付状況の現地確認、農政事務所に提出するデータ出力のための既存システムの修正、モデル事業効果検証アンケートの配布・回収及び入力等などが行われます。市町村の事務量はかなりの量になると予想されます。
  • 戸別所得補償のモデル事業のスケジュールは、12月28日に全国説明会が行われます。その後、ブロック別説明会が1月中旬まで行われ、終了後、県別説明会が2月中旬まで行われます。市町村説明会は2月中旬から3月中旬まで行われます。一方、生産調整の市町村目標は1月中旬までには決定される予定です。

なお、勉強会で使われた資料をPDFで添付しました。ぜひご一読ください。
091222戸別所得補償モデル対策の説明会スケジュール.pdf
091222モデル対策に関する論点.pdf
091222戸別所得補償制度に関するモデル対策.pdf
091222戸別所得補償制度モデル対策の懸案事項について.pdf
091222農業の立て直しと食と地域の再生に向けて.pdf