介護3施設を倍増、グループホームは3倍増に
 1月21日衆院予算員会での井上義久公明党幹事長の質問の白眉は、介護総点検運動の調査結果をもとにした、介護保険改革への提言であったと言えます。
 井上幹事長は、特別養護老人ホームの入所待機者が42万人に上ることや在宅介護による家族の心身の負担など、深刻な現場の声を紹介。「介護施設の整備・拡大は緊急の課題だ」と訴え、65歳以上の高齢者人口がピークを迎える2025年までに特養ホームなど介護3施設の倍増と、グループホームなどの3倍増を主張しました。
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 鳩山首相は公明党の総点検を「大変、大事な調査」と評価した上で、「加速度的に(施設を)増やしていかなければならない」と答えました。
 さらに井上幹事長は、要介護者の7割強が自宅で介護を受けているとの総点検結果を示す一方、高齢者虐待や「老老介護」の深刻さが増していると強調。ショートステイやデイケアによる一時預かり、病院で短期間、預かってもらう「レスパイト(休息)事業」の大幅拡大など、在宅介護の支援強化を訴えました。
 介護職員の処遇改善については、前政権が今年度第1次補正予算で導入した処遇改善交付金に言及。交付金の恒久化を求めたのに対し、長妻昭厚生労働相は「恒久化措置を考えている」と明言しました。
新たなセイフティネット構築を
 一方、貧困と格差の問題で井上幹事長は、「新たなセーフティーネット(安全網)の構築が重要だ」と力説。無年金・低年金者への対策として、(1)年金保険料の事後納付期間の2年から5年への延長(2)受給資格期間を25年から10年に短縮(3)国民年金を25%加算する年金加算制度の導入――を提案した。鳩山首相は「受給資格期間の短縮は重要な発想だ。25年は長すぎる」との認識を示しました。
 また井上幹事長は、高額療養費制度の見直しについて、制度の恩恵を受けられない人もいるとして、「(一般の所得区分の人のうち)収入の少ない人の自己負担限度額を、さらに引き下げてはどうか」と提案。さらに前政権で雇用安全網として実施した、職業訓練中の生活費を保障する「訓練・生活支援給付」の拡充と恒久化を主張したのに対し、長妻厚労相は「11年度から恒久的な措置として実行していきたい」と述べました。