
全国の児童相談所が対応した児童虐待件数は、統計を取り始めた1990年度から18年連続で増え続け、08年度は前年度比2025件増(5.0%増)の4万2664件。これは10年前の98年度に比べると6.2倍で、児童虐待防止法が施行された00年度と比べても2.4倍になっています。
また、厚労省に設置されている社会保障審議会の第5次報告によると、07年1月1日から08年3月31日までに発生した児童虐待による死亡事例(115例、142人)を分析したところ、死亡した子どもの年齢はゼロ歳児が5割弱、特に生後1カ月未満に集中していました。
その母親については、「若年妊娠」「望まない妊娠」などの問題とともに、「育児不安」「養育能力の低さ」「感情の起伏が激しい」といった心理的・精神的な問題を抱えている場合が多いことも明らかになっています。
こうした事態を受け、法務省は1月5日、親による子の虐待を防止するため、民法上の親権を制限できる制度を導入する方針を固めました。
法務省の有識者研究会が今月中にまとめる親権制度の改革案を基に、2月から法制審議会(法相の諮問機関)で民法の関連規定の見直しについて検討し、11年の通常国会での民法改正を目指す方針です。
子の虐待をめぐっては、父母が親権を盾に児童養護施設などから強引に連れ戻したり、必要な医療や教育を受けさせないといったケースが多発しています。
そこで、法務省は(1)一定期間、親権を停止する(2)親権の一部であり、子どもを引き取り、世話などをする「監護権」を停止する――を家庭裁判所の裁定で認める制度を導入する方向です。
これにより、子どもの安全確保に向けて、父母以外の親族や施設の責任者の判断が優先されることになります。
現行の民法にも、親権を全面的にはく奪する「親権喪失」に関する規定があります。しかし、親権のすべてが無期限に奪われた場合、その後、親子関係を回復することが難しくなるなどの問題点もあります。このため、虐待の対応に当たる教育・福祉関係者などからは、より弾力的に親権を制限できる制度を求める声が上がっていました。
公明が法整備を強く主導
公明党はこれまで児童虐待防止に一貫して取り組み、法整備をリードしてきました。2000年に成立した児童虐待防止法は、公明党の意見が大きく反映されています。また、08年4月には、児童虐待防止法の内容を強化した改正法が施行されました。親権制度については、児童虐待防止法の付則に施行後3年以内に見直しを検討することが盛り込まれています。
参考:2008年度の社会福祉行政業務報告(09年10月発表)
参考:子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について
法務省の有識者研究会が今月中にまとめる親権制度の改革案を基に、2月から法制審議会(法相の諮問機関)で民法の関連規定の見直しについて検討し、11年の通常国会での民法改正を目指す方針です。
子の虐待をめぐっては、父母が親権を盾に児童養護施設などから強引に連れ戻したり、必要な医療や教育を受けさせないといったケースが多発しています。
そこで、法務省は(1)一定期間、親権を停止する(2)親権の一部であり、子どもを引き取り、世話などをする「監護権」を停止する――を家庭裁判所の裁定で認める制度を導入する方向です。
これにより、子どもの安全確保に向けて、父母以外の親族や施設の責任者の判断が優先されることになります。
現行の民法にも、親権を全面的にはく奪する「親権喪失」に関する規定があります。しかし、親権のすべてが無期限に奪われた場合、その後、親子関係を回復することが難しくなるなどの問題点もあります。このため、虐待の対応に当たる教育・福祉関係者などからは、より弾力的に親権を制限できる制度を求める声が上がっていました。
公明が法整備を強く主導
公明党はこれまで児童虐待防止に一貫して取り組み、法整備をリードしてきました。2000年に成立した児童虐待防止法は、公明党の意見が大きく反映されています。また、08年4月には、児童虐待防止法の内容を強化した改正法が施行されました。親権制度については、児童虐待防止法の付則に施行後3年以内に見直しを検討することが盛り込まれています。

