高額療養費の上限額1か月の医療費負担上限額 自己負担限度額
上位所得者
(月収53万円以上)
15万円+(総医療費−50万円)×1% 15万5000円
一 般8万100円+(総医療費−26万7000円)×1% 8万7430円
低所得者
(住民税非課税)
3万5400円 3万5400円
安心の医療体制=医療のセーフティネットを構築
 公明党は、国民の命と健康を守るために、医療のセーフティネットの拡充に全力を挙げています。
 がんや慢性疾患などを患う人や家族は、治療が長期化する傾向にあり、病気はもちろん、高額な医療費負担に苦しむケースが多くなっています。
 こうした家計の負担を軽減する仕組みとして「高額療養費制度」があります。長期入院などで1カ月(同月内)に同じ医療機関で掛かった費用を世帯単位で合算し、自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される制度です。
 2007年4月より、公明党の強い働きかけによって、高額医療費制度に現物給付制度が導入されました。
 以前の制度では、退院時(入院が複数月にわたる場合は1ヶ月分を)に一度窓口で医療費の全額を支払い、限度額超過分は後日、申請して払い戻しを受けことになっていました。一時的にも高額な医療費を支払う必要があり、患者さんや家族の負担は大きなものがありました。しかし、事前に申請することにより、自己負担限度額を支払えば、残額は公的医療保険から直接支払われることになり、負担が大幅に軽減されました。
 しかし、まだ高額療養費制度にはいくつかの課題があります。
 その一つは、70歳未満の「一般所得」の世帯は区分が広く、比較的所得が低い世帯の負担が大きいという問題があります。例えば、一般の所得層の人は、医療費が100万円(自己負担は3割の30万円)掛かった場合、自己負担限度額が8万7430円になるので、21万2570円が高額療養費として払い戻されることになります。ところが、「一般所得者」は、所得分布の幅が広く、比較的所得が低い人にとっては、限度額(8万7430円)が重い負担になっています。住民税非課税など「低所得者」の限度額(3万5400円)と比べると、2倍以上支払わなくてはなりません。
高額療養費の問題点<公明党の改善提案>
  • 70歳未満の『一般』区分の所得の幅が大きく、比較的所得が低い層には自己負担限度額が高すぎる
  • 70際未満は、1回の医療費が2万1000円を超えないと世帯合算できない
  • 月をまたぐと合算できない
  • 同じ病院でも医科、歯科は合算できない
  • かかった病院が別ならば別々に計算
  • 同じ病院でも外来と入院では別計算

 公明党は、1月22日の衆院予算委員会で井上義久幹事長、27日の参院予算委員会で山口那津男代表と、連続して高額療養費制度の問題点を取り上げ、政府の対応を求めました。
 井上幹事長は、70歳未満の「『一般』の区分を二つに分け、収入の少ない方の自己負担限度額を引き下げてはどうか」と提案しました。これに対し、鳩山首相は「重要な課題。安心して医療を受けられるよう十分に検討したい」と対応する考えを示しています。
 一方、山口代表は、高額療養費の自己負担限度額に達しなくても、同月内に同一世帯で2万1000円を超える医療費が発生した場合、合算して自己負担限度額を超えた金額が払い戻される世帯合算に言及。その際、1回の医療費が2万1000円を超えないと合算できない点に触れ、「なぜダメなのか」と改善を迫りました。
 さらに、(1)月をまたぐと合算できない(2)同じ医療機関でも、歯科とその他の診療科目があった場合、歯科は別計算(3)二つ以上の医療機関に別々にかかった場合も別計算で合算できない(4)同じ医療機関の中でも外来と入院は別計算――など算定方式の問題点を指摘しました。
 長妻厚生労働相は「運用改善が可能か検討したい。一つの病院で科が別だと合算できないので、今年の4月から改善する」と答弁。鳩山首相は「できるだけ早く前向きな結論が出るよう検討したい」と述べています。