2月24日、公明党の山口那津男代表らは、首相官邸で、公明党の介護総点検を踏まえて取りまとめた政策提言「新・介護公明ビジョン」を鳩山由紀夫首相に提出しました。この提言では、特別養護老人ホームなど介護3施設の倍増などを提案。鳩山首相は、「大いに政府として参考にする。具体的な内容については早速、厚生労働省などに検討を促したい」と述べました。 
 「新・介護公明ビジョン」は、昨年11月から公明党が全国で行った「介護総点検」で寄せられた約10万件の現場の声を踏まえ、「介護施設の不足」「在宅支援体制の不足」「介護労働力の不足」の“三つの不足”に対応する施策を盛り込んでいます。
 具体的には、(1)団塊の世代が75歳以上となる2025年までに介護施設待機者を解消、(2)在宅介護の支援を強化、(3)介護保険制度の利用者負担の見直し、(4)介護従事者の処遇改善、(5)ケア付き高齢者住宅の大幅な拡充、(6)介護事業の抜本的な運営の改善、(7)公費負担の大幅拡大――の7つの視点から、高齢者が住み慣れた地域で、安心して老後を暮らせる社会をめざすための「12の提案」と「早急に実施すべき64の対策」で構成されています。
 鳩山首相との会談で山口代表は、特別養護老人ホームなど介護3施設の倍増やグループホームなどの3倍増を提案。さらに、在宅介護の支援強化について、「24時間365日訪問介護サービスの大幅な拡充を」と主張。その上で「介護保険料は上限を設けて、利用者負担の上昇を抑制すべき」と語りました。
 鳩山首相は、厚労省に早急に提言を検討させる考えを示した上で、「施設の不足に対応する必要がある」と強調。また、家族介護者の休息を保障するレスパイトケア事業に強い関心を示しました。さらに、介護従事者の処遇改善については、「われわれと方向性は一致している」とし、優先的に取り組む考えを表明しました。
 同席した平野博文官房長官は「具体的な施策については、民主党と公明党でもう少し具体的に検討していく必要がある」と述べました。
 会談終了後の会見で山口代表は、提言を具体化する財源について、「特定の税や保険料に財源を求めるのではなく、保険料、税を全体として、給付の方も全体として検討した上で、大きな方向性を国民に示し理解を求める必要がある」との考えを表明しました。
「新・介護公明ビジョン」7つの視点で、12の提案、64の対策
【施設待機者を解消】
(1)介護3施設は倍増、特定施設、グループホームは3倍増に
【在宅支援を強化】
(2)24時間365日の訪問介護サービスの拡充
(3)介護予防に励む元気な高齢者や介護ボランティア参加者に、負担軽減の「ポイント」進呈
(4)家族の休暇・休息へ一時預かる「レスパイトケア事業」拡充
【利用者負担見直し】
(5)低年金・低所得者もグループホーム等の利用を可能に
【介護職の処遇改善】
(6)公費で、処遇改善交付金の継続・対象拡大と介護報酬引き上げ
【ケア付き住宅拡充】
(7)ケア付き高齢者賃貸住宅を整備。公共住宅・空き学校活用も
【事業者の運営改善】
(8)煩雑な事務処理の手続き簡素化、要介護認定審査の簡略化
(9)介護職員の配置基準を現行の3対1から2対1に手厚く
(10)要介護度を軽減させた事業所を介護報酬で評価する制度導入
【公費負担を拡大】
(11)介護予防を公費で充実
(12)公費負担割合を当面6割に。25年には3分の2にアップ
参考:新・介護公明ビジョン(PDF版21MBあります)