負担増となる世帯への支援措置を付帯決議
参考写真 3月12日、衆院文部科学委員会では、高校授業料の実質無償化法案を、施行3年後の見直し規定を加えた修正の上、民主・社民・国民新、公明、共産などの賛成多数で可決しました。公明党が主張してきた給付型奨学金の創設などを盛り込んだ付帯決議も可決しされました。
 採決に先立って質問に立った公明党の富田茂之氏は、定時制や通信制、特別支援学校に通う子どものいる世帯など、特定扶養控除の縮減に伴い、負担増となる世帯への支援を要請しました。「負担増に見合う具体的な提案がないと納得を得られない」と強く主張しました。
 川端達夫文科相は、「(控除の縮減が)実際に家計に影響を生じる2011年末に向け、給付型奨学金が一番大きな効果をもたらす」と述べ、3年後の見直しの前に具体策を講じる考えを強調しました。
 また、富田氏は、高校の無償化について、法案成立後であっても中央教育審議会(文科相の諮問機関)に諮問すべきと主張しました。
 賛成討論を行った公明党の池坊保子さんは、負担増となる世帯への対応がないことなど法案の不備を指摘する一方で、家計の教育費負担の軽減には理解を示し、「授業料無償化による家計支援を行いつつ、3年後の検証と見直しを行うべき」と強調しました。
 高校無償化法案は、公立高校の授業料をなくすとともに、私立高校については、それに相当する年11万8800円を高等学校等就学支援金として学校に直接支給して授業料を安くし、低所得世帯に対し助成額を上乗せする、という内容です。
 先進諸国には「幼稚園から大学までの公教育は公費で」という考えが多く、特にヨーロッパでは高校、大学を含めた無償化の国がたくさんあります。それは、「人を育てる費用は無償とする」との考え方が基になっており、個々人が、自立した能力ある人材になることで、国力も増すという基本的な考え方があるからです。
 公明党もめざすところは「公教育は公費で」との考えです。教育の党・公明党の旗をさらに高く掲げた「山口ビジョン」でも、「子どもたちが経済的な理由から十分な教育を受けられないことがないように、公的支出を増やしていきます」と、公費負担の拡大を掲げています。
 今回の高校無償化は、その流れの中で一歩前進と評価でき、一部の足りない面を補った修正を行い、採決では賛成の立場を鮮明にしました。
 また、公明党が強く主張している幼児教育の無償化については、引き続き実現をめざしていきます。
 高校無料化法案の採決に当たっては、法案修正と付帯決議という形で公明党の主張が取り入れられました。そのポイントは、「低所得層への配慮」です。
 国が授業料を無償化することで、現在、地方自治体が実施している授業料の減免(私立高校)や奨学金、学用品や施設管理費などの手当などが廃止されるようなことがあってはなりません。
 こうしたケースが起きるかどうか、実は政府はまったく把握していませんでした。このため、公明党は、国が実態を早く把握した上で、「必要な支援措置を講じること」を付帯決議に明記させました。また、法案を修正し、3年後に制度の見直しを行う規定を盛り込みました。
 マスコミなどでも大きな問題として取り上げられている朝鮮学校への対応ですが、鳩山政権は結論を先送りする方針です。日本に永住権を持つ子弟あるいは日本で長く生活する外国人子弟については、基本的に日本国民と同じような対応が与えられるべきです。憲法では、教育の機会均等、法の下での平等が保証されています。外国人だからといって保証されないということは極めて例外的、合理的理由がなければならならず、国交がないということがその理由になるかどうかは慎重に検討しなくてはならないと思います。