父子家庭、DV被害者、年金受給者の祖父母などに児童扶養手当支給
参考写真 4月1日、公明党は児童扶養手当法改正案(公明党案)を議員立法で参院に提出しました。
 公明党案は、父子家庭の父親を新たに児童扶養手当の支給対象とするほか、児童を連れて離婚係争中のDV(ドメスティック・バイオレンス=配偶者などからの暴力)被害者や、児童を扶養している年金受給者の祖父母などにも支給を認めることにしています。
 さらに、現行制度で支給開始から5年後などに行われる支給制限も、厳しい経済情勢を考慮して撤廃。支払い回数は、現在の年3回(4、8、12月)から年6回(偶数月)に改め、利便性を向上させることにしています。
 公明党は、父子家庭、DV被害者、年金受給者の祖父母など、ひとり親家庭に対する支援を拡充するために、児童扶養手当制度の見直しをマニフェストに掲げ推進してきました。今回の法案は、こうした経緯を踏まえ、まとめたものです。
 児童扶養手当法については政府も改正案を今国会に提出していますが、支給対象の拡大は父子家庭に特化しているほか、「家庭の自立を促す」観点から、支給制限が設けられています。
 法案提出後、発議者の渡辺孝男厚生労働部会長(参院議員)は、政府案について、父子家庭への支給を評価した上で、「父子家庭だけでなく“子どもの福祉”に着眼して、公明党は拡充案をまとめた。経済的に厳しい状況であり、早期の成立をめざしていく」と強調しました。それに対して、政府案は解決すべき課題を先送りしたものだと指摘しました。
 政府案の「父子家庭の父」への支給で、新たに対象となるのは約10万世帯と見込まれていますが、公明党案では、これに加えて、DV被害者約3000世帯、老齢基礎年金や遺族年金などの公的年金受給者約21万世帯が追加対象となります。
児童扶養手当法等改正案(政府案への対案)の概要
●児童扶養手当法の一部改正
1.父子家庭の父に対する支給
母と生計を同じくしていない児童を監護し、かつ、これと生計を同じくしている児童の父を新たに児童扶養手当の支給対象とすること。
2.配偶者からの暴力等を原因として父母が事実上離婚状態にある児童に係る支給
父母が婚姻を解消した児童に「配偶者からの暴力、配偶者の児童に対する虐待その他の政令で定める事由を原因として、父母が生活の本拠を異にし、かつ、離婚の調停の申立て等がなされていることにより、父母が離婚の届出をしていないが事実上離婚したと同様の事情にある児童」を含め、児童扶養手当を支給することとすること。
3.公的年金給付等との併給調整の一部廃止
児童自身が公的年金給付又は遺族補償等を受けている場合を除き、児童扶養手当と公的年金給付又は遺族補償等との併給調整を行わないこととすること。
4.支払回数の改善
児童扶養手当の支払期月を、現行の毎年4月、8月及び12月の3期から、毎年2月、4月、6月、8月、10月及び12月の6期に改めること。
5.一定期間経過後の支給制限の廃止
支給開始月の初日から5年を経過したとき等において児童扶養手当の一部を支給しないこととする措置に係る規定を削ること。
●児童扶養手当法の一部を改正する法律(昭和60年法律第48号)の一部改正
1.父の所得による支給制限措置に係る改正規定の削除
父母が婚姻を解消した場合において生計を同じくしていない父の所得が政令で定める額以上であるときは児童扶養手当を支給しないこととする措置に係る改正規定を削ること。
●施行期日等
1.施行期日
この法律は、第2及び経過措置の一部を除き、平成22年8月1日から施行すること。
2.検討
施行後3年を目途として、児童扶養手当制度を含めた父又は母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭に対する支援施策の在り方について検討する旨の規定(検討条項)を設けること。
3.その他
必要な経過措置その他所要の規定の整備を行うこと。
※下線の項目は政府案への追加事項