参考写真 5月18日、宮崎県で発生した家畜の伝染病“口蹄疫”の被害救済に対応するため、公明党政務調査会は、石田祝稔農林水産部会長(衆院議員)を座長とする「口蹄疫対策特別措置法検討プロジェクトチーム(PT)」の会合を開きました。
 18日現在、宮崎県内では、殺処分の対象となる家畜(牛、豚、ヤギ)が11万4177頭に拡大。新たに、新富町で疑似患畜(感染の疑いがある家畜)22が確認された。深刻な感染拡大を受け、東国原英夫県知事は18日、県内全域に非常事態を宣言しました。
 口蹄疫対策特別措置法検討PTでは、今回の感染被害について、感染力が強く甚大な被害が出ていることなどの特殊性に着目。家畜伝染病予防法などの現行法改正で恒久的な対策に練り直すよりも、時限立法的な「特別措置法」を制定し、今回の危機的状況に対応すべきとの認識で一致しました。
 特措法の具体的内容については、(1)殺処分された家畜等に関する手当金の全額補償(現行5分の4)、(2)所有者に代わる国や県などによる埋却の推進、(3)地域内を移動する人や車両等の消毒義務付け、(4)非感染家畜の予防的殺処分――の4点を中心に議論しました。
 これに先立ち、党口蹄疫防疫対策本部(本部長=東順治副代表)、党農水部会は、衆院第1議員会館内で合同会議を開き、口蹄疫感染の現状について農水省からヒアリングを行いました。
 会議の冒頭、あいさつした山口那津男代表は、現地で被害が確認されていたにもかかわらず、外遊していた赤松広隆農水相らについて「対応を怠り、後手に回った責めは厳しく問われなければならない」と糾弾。被害農家への補償の在り方を党で議論し、提言していく考えを示しました。
東国原知事のツイッターより
(2010/5/19 18:17)
しかし、ワクチン接種とそれに伴う全頭殺処分には、対象農家への充分な経済的支援や埋設地等が確保されなければ、農家さん達のご理解や同意は得られないだろう。
 5月19日、政府は、宮崎県で家畜の伝染病の口蹄疫が広がっている問題で、(1)発生地から半径10キロ以内のすべての家畜にワクチンを打った上で殺処分とする、(2)発生地から半径10〜20キロの家畜を早期出荷を促す、(3)殺処分や早期集荷で農家に損失が出た場合は、政府が財政的支援を行う。
 宮崎県はこれまで、口蹄疫への感染や感染が疑われる家畜が確認された場合、同じ農場で飼われている牛や豚のすべてを殺処分としてきました。これに、10キロ圏を加えると、農水省の推計では、新たに牛4万頭、豚12万6千頭が殺処分の対象となる見通しです。政府は市場価格の一定割合の手当金を畜産業者に支払うことを検討しています。 さらに、一度に数千頭規模での殺処分はできないため、あらかじめ対象の全家畜にワクチンを打ち、ウイルスの勢いを弱めた上で、順次処分する方針です。ワクチンが使われれば、国内の口蹄疫対策で初めてとなります。
 さらに、家畜の移動を制限している発生地から10〜20キロの「搬出制限区域」では、早期出荷を促し、政府が市場価格との差を補償することにしています。
 農家の生活再建策などの具体的な案を早期に提示し、一刻も早く畜産農家の協力を得ることが必要です。
国の新たな口蹄疫対策の要旨
(5月19日、赤松農相が発表した口蹄疫対策の要旨は次の通りです)
  • 感染が確認された10キロ圏内のすべての牛と豚は、ワクチンを接種した上で殺処分。
  • 10〜20キロ圏内を緩衝地帯と位置付け、牛、豚の早期出荷を促す。農家の損失は国が負担。
  • 感染数が少ない宮崎県えびの市と、隣接する熊本県、鹿児島県は当面、殺処分や早期出荷の対象にしない。
  • 今後3週間、新たな感染が確認されなければ、口蹄疫終結と判断。
  • ワクチンを接種して殺処分した牛1頭につき約60万円、豚1頭につき約3万5千円の奨励金を農家に支給。
  • これまでに殺処分を実施した農家すべてに、牛や豚の評価額の5分の1を見舞金として支給。5分の4は家畜伝染病予防法に沿って手当金として支払う。
  • 農家への手当金のうち、宮崎県の負担分は、政府が特別交付税として補てんする。
  • 殺処分に伴う手当金の申請を簡素化。
  • 新たに発表した全頭殺処分や早期出荷などの対策に必要な予算は300億〜400億円を想定。
  • 獣医師50人、自衛官170人を追加派遣。これまでの派遣人員との合計は獣医師が約190人、自衛官340人。九州管区の警察官160人も宮崎県に新たに送る。