沖縄普天間飛行場の移設問題は、政権交代後8カ月の迷走の末、結局、振り出の「辺野古埋め立て案」に戻りました。5月23日、鳩山由紀夫首相は、沖縄県を再訪し、名護市の「辺野古付近」に代替滑走路をつくると明言。移設場所や工法の決定は先送りされましたが、環境影響評価をやり直さないという米国政府との大筋合意に従えば、現行案の微修正にとどまるののは明白です。
 この結論は、「少なくとも県外」という民主党の公約に真っ向から反するものです。沖縄の頭越しに交渉を進め、米国と大筋合意したやり方も、絶対に許されるものではありません。期待を持たせておいて、沖縄県民は裏切られたことになり、厚顔無恥のそしりは免れません。国民にも偽装決着を図ろうとしていることは見抜かれています。
 米国との関係でも、現行案に限りなく近いもので先送りするという方向性ですから、「5月末決着」という首相のこれまでのやり方は非難を免れ得ません。「腹案がある」と何回も繰り返した、党首討論での発言は一体何だったのでしょうか。予算委員会など、国民に明確に説明することが必要です。
 5月決着に政治生命を掛けると、自らが発言したのですから、首相として重大な決断を求められることになります。「政治とカネ」の問題などで前言を翻すことを重ね、普天間でもそうなるわけだから、総理大臣としての資格はありません。即刻辞表を提出し、内閣は総辞職すべきです。
 さらに、連立を組む社民党にも申し上げたいと思います。社民党は5月24日、福島瑞穂党首ら党幹部が沖縄県の米軍普天間基地の移設問題への対応を協議。鳩山由紀夫首相が表明した名護市辺野古移設案は「実現不可能」として反対する方針を確認したそうです。連立政権を離脱するかどうかは日米の合意文書と首相の出方を慎重に見極めていく方向で一致しと報道されています。普天間「県外移設」は社民党の生命線であったはず。それが反故とされたからには、社民党が鳩山連立政権に止まる意味は全くありません。
 このまま、連立を維持するならば、自社さ政権で旧社会党が崩壊したと同じ轍を、今度は社民党が踏むことになります。