051fe2f2.jpg 6月15日、参議院は菅直人新首相の所信表明演説に対する各党の代表質問を行いました。公明党からは山口那津男代表が質問に立ち、解決が先送りされている「政治とカネ」の問題や、具体性のない菅政権の経済・財政方針を厳しく批判しました。また、公明党が主張する「新しい福祉」や、地球温暖化対策、公務員制度・国会改革などで具体策を提案するとともに、米軍普天間飛行場移設問題に対する同政権の対応をただしました。
 このブログては、前回に引き続いて「新しい福祉」に関連する、具体的な提案の内容をご紹介します。
 なお、今回の代表質問でも、菅首相は山口代表のこの提案に全く答えませんでした。官首相の福祉ビジョンを一刻も早く聞きたいものです。
公明党の新しい福祉、うつ病対策、介護問題について菅新政権の姿勢を質す
 総理は演説の中で、「新たな年金制度に関する基本原則を提示します」、介護についても「安心して利用できるサービスの確立に努めます」とおっしゃいました。民主党は、一体いつまで検討を続けているのですか。民主党が年金制度の抜本改革を言い出したのは2003年、すでに7年が経過しています。
 今ごろ「基本原則」などと言っている場合ではありません。早く具体策を出してください。
 それができないのなら「抜本改革」など、撤回していただきたい。
 公明党は「新しい福祉」について、具体的に提案いたします。
 まず、うつ病などの心の病、深刻化するDV(ドメスティック・バイオレンス)や児童虐待、高齢者の孤独死、貧困や不安定雇用など、国民は新たなリスク(危険)に直面しています。
 公明党は、これまで年金・医療・介護など社会保障制度や子育て支援の充実に全力を挙げてきました。しかし、これらの新たなリスクは、今までの社会保障・福祉の枠では対応できない課題であります。
 公明党は福祉の党として、これらの21世紀の新たな社会問題に対応するため、「新しい福祉」を提案しています。
 社会保障制度の抜本的な充実を図る「新しい生活保障」、生活の安定に直結する雇用保障の確立に向けた「新しい雇用保障」、そして、うつ病など現代の社会問題に対応する「新しいヒューマンケア」の3本柱であります。
 21世紀型の新しい福祉政策について、特に喫緊の課題である、うつ対策と介護に絞って伺いたい。
 うつ病は誰もが身近に接する疾病となっています。うつ病患者は約250万人。不安障がいなどの気分障がい全体では、実に1000万人を超えています。もちろん日本だけの現象ではなく、WHO(世界保健機関)の将来予測では、2020年には総疾病の第2位とまで言われています。
 しかし、患者のうち4分の3は医療機関での治療を受けていません。まず、職場のメンタルヘルス対策の推進、かかりつけ医の研修事業の拡充など、早期発見の体制整備を図るべきです。
 また、治療法では、公明党が推進してきた「認知行動療法」が本年4月の診療報酬改定で健康保険が適用されましたが、まだまだ圧倒的に専門家が足りません。先進的に行ってきた沖縄県の精神保健センターでは、実に92%の方が改善したとの成果が出ている治療法です。認知行動療法のさらなる推進、早期発見から治療体制への充実、社会復帰までの支援体制の充実について、総理はどう取り組まれるのか、答弁を求めます。
 次に「介護」について、公明党は昨年11月、全国3000人の議員が介護現場に飛び込み、全国47都道府県で「介護総点検運動」を実施しました。
 介護現場では、高齢者や介護家族、介護従事者など、五つの分野で実態調査を行い、10万件を超える介護現場の切実な声を聞き取りました。
 特に「介護施設」「在宅支援」「介護労働力」という“三つの不足”に対する不安の声が数多く寄せられました。
 本年2月、公明党独自の「新・介護公明ビジョン」を発表し、介護と医療の連携の強化、高齢者住宅の整備など、地域の暮らしを支える「地域包括ケア」の実現を提案しました。
 特に重要課題として12項目の政策提言を行い、特養ホームなど介護施設の倍増、24時間訪問介護サービスの拡充、家族に休息を取ってもらうレスパイトケアの充実などを主張し、その提言に対し鳩山前総理は「大いに政府として参考にする。具体的な内容については厚生労働省などに検討を促す」と述べました。
 総理に伺います。公明党の介護ビジョンを検討した結果はどうなったのか、お答えいただきたい。
 また、介護を必要とする高齢者が年々増加する中で、自宅で暮らし続けられるためには、24時間365日の在宅サービスの充実が不可欠です。
 ところが施設介護は定額払いなのに対して、在宅介護は出来高払い。在宅介護において、施設と同様に定額で提供され、何度でも訪問できる小規模多機能型居宅介護のサービスが普及しなければ、地域包括ケアの実現は難しい状況です。
 総理、小規模の在宅支援事業は、全く足りていません。せめて小学校区に1カ所以上展開する必要があります。
 子育て支援策についてお聞きします。総理、来年度以降の子ども手当は、マニフェスト通り2万6000円に拡充するのですか。その際、財源はどうするのですか。一部閣僚より、見直すとの発言が受けられますが、パラパラと無責任な発言をせずに、明快に国民に対し、来年度以降の姿を示していただきたい。子ども手当は、民主党マニフェストの“一丁目一番地”でした。もし変えるのならば、きちんと説明すべきです。
 本年度の月額1万3000円を中学生まで支給する子ども手当は、実質、児童手当の拡充であり、公明党がめざしてきたものであるところから、賛成をいたしました。
 しかし、来年度以降の話は別です。私は、子育て支援は、「経済的負担の軽減」と「保育サービスの一層の充実」など、あえて法案を修正して明記させたように総合的な子育て支援が重要と考えています。これからは、待機児童ゼロに向けた保育所の緊急整備や、幼児教育と公立小学校の給食費の無償化など、子育て環境の整備にこそ力を入れるべきです。