梅雨空の中でのさわやかな一日。6月24日は参院選の公示日でもあり、一日、つくば、水戸を駆け回っていました。こうした中、まさに青天の霹靂ともいう事態が惹起しました。スカイマーク社が、午後いきなりの「茨城=神戸便」の運休をプレスリリースしました。
神戸‐茨城線」の運休について
スカイマーク株式会社(2010年6月24日)
 スカイマーク株式会社は、2010年9月より「神戸‐茨城線」を運休とさせていただくことを決定いたしましたので、ここにお知らせいたします。
 本件、運休に至る経緯は以下の通りとなります。
 「神戸-茨城線」は当初の想定よりも好調で黒字運航を行っておりましたが、本社コストや定期整備コストを含めれば黒字にはなっておりませんでした。当社としては低価格帯の運賃で需要を掘り起こし、3便以上の運航体制を敷いた時点で完全黒字にすることを目指しておりましたが、ここに来て茨城空港は他の空港と異なり、自衛隊の指揮下で運航しなければならないことが判明いたしました。茨城空港と自衛隊との間でそのような取り決めがあるようです。
 例えば、航空祭では運航ダイヤの大幅な変更を求められておりますし、観閲式では運航の中止を求められる可能性もあるようです。これでは定期便としての運航を行うことができません。当社では機材をフルに活用することでコスト削減を図っており、茨城空港発着便での運航ダイヤの変更を行えば、その後の運航便に混乱を招くことになります。現在、茨城に就航している機材は原則神戸に戻った後沖縄に向かい羽田に戻ることになっておりますが、茨城で遅延させれば羽田への到着時刻が玉突き的に遅れ、お客様が目的地までの地上交通に乗れなくなってしまうことにもなりかねません。
 このような状況下では今後の増便について消極的にならざるを得ません。増便ができなければ茨城便が完全な黒字になることはありません。この問題に関して当社が改善を求める余地はなく、従って茨城空港と自衛隊との間で「民間共用」のスキームの見直しがされるまで運休をさせていただくことを決定いたしました。
 これまでご利用頂いておりましたお客様には誠に申し訳ございませんが、民間航空会社として止むを得ない措置とご理解頂ければ幸いです。一日も早く運航を再開できることを心より願っております。

 「茨城空港は航空自衛隊への配慮が予想以上に必要で安定運航ができない」ことが運休の理由として説明されています。「例えば、航空祭では運航ダイヤの大幅な変更を求められておりますし、観閲式では運航の中止を求められる可能性もあるようです。これでは定期便としての運航を行うことができません」と、防衛庁管理の茨城空港の特殊性を強調しています。
 6月県議会の総務企画委員会で、井手よしひろ県議は7月24日、25日の百里航空祭への対応を県に質しました。スカイマーク社も「茨城空港(百里基地)における百里基地航空祭の開催に伴い、7月24日(土)、25日(日)の両日、茨城空港(百里基地)周辺道路の混雑が予想されます。茨城空港をご利用予定のお客様は、時間に余裕をもって、お早めに空港までお越し頂きますようお願い申し上げます」(5月25日)と告知しています。この2日間の周辺道路の混雑は、体験したものでなくては言い表せないほどの激しさです。井手県議は、こうした現状を踏まえ、「極論を言えば、この期間は茨城便を羽田発着に振り返るぐらいの覚悟をもって、混乱の収拾にあたっていただきたい」と、県当局に強く要望しました。
 県は、こうした意見も参考に、両日のダイヤ変更をスカイマーク社に要望していた経緯があります。
 この日のいきなりの運休表明に、県や国交省も混乱しているようです。茨城空港=航空自衛隊百里基地にとっての航空祭、三年に一度の航空観閲式は一大イベントです。地元にとっても欠くことのできない行事であり、全国から航空ファンが集まります。
 スカイマーク社の幹部の皆さまにも、このイベントの持つ意味をご理解いただきたいと思います。出来れば、どのような盛り上がりを示す行事なのか、冷静に観ていただいてから運休の判断をしていただいても遅くないと思います。