菅直人首相の言葉が痛いほど軽い。消費税に関する発言がブレにブレています。6月30日、東北3県を遊説した菅首相は、消費税増税の低所得者対策として還付(払い戻し)制度に言及しました。対象となる年収額が、この日だけでも二転三転。消費税問題で確たる定見を持たない、口先だけ、思いつきだけの“正体”をさらけ出した格好となりました。
参考写真 菅首相は午前中の青森市での街頭演説で、還付の対象を「年収200万円とか300万円まで」と明言。
 ところが、午後の秋田市では「年収300万円とか350万円以下」、さらに山形市では「年収300万円、400万円以下」とクルクル変わりました。
 消費税をめぐる「首相の『生煮え』ぶりをあらためて露呈した」(7月1日付「河北新報」)と地元マスコミからも酷評されています。
 この日の首相遊説の模様は1日朝のTBS系のテレビ番組「みのもんたの朝ズバッ!」でも取り上げられました。
 みの氏は「200万円、400万円というのは(対象範囲が)だいぶ違う」とコメント。早稲田大学大学院の北川正恭教授も「首相が言った200万から300万、300万から400万、それが一人歩きすることを心得ないと」と苦言を呈しました。
 一方、フジテレビ系の「とくダネ! 」では、キャスターの小倉智昭が「消費税論議をする時に、こういうブレが出てくるのは、その場しのぎと取られても仕方がないよね」と発言。 最後に小倉氏は、「所得税の還付はできても、消費税の還付は現実的に絶対できないですよ」と指摘し、「(消費税は)還付ではなくて、最後は単なる現金のバラマキだろう」と批判しました。
 こうした報道を気にしてか、菅首相は1日の演説では還付対象の具体的な年収額には一切触れませんでした。
 そもそも、首相が提案した年収400万円未満の世帯は、厚生労働省の統計で全世帯の46.5%にも達します。消費税率を「10%」に引き上げる場合、単純計算で12兆円強の税収増になりますが、半分近い世帯の減税や給付を実施すると、結果的に増税分がほとんどなくなってしまいます。
 こんな面倒なことをするならば、引き上げなどしない方が良いのに決まっています。