札幌市選管委員長宅に政党ポスター 指摘受け撤去
北海道新聞(2010/7/9)
 札幌市選挙管理委員会の富田新一委員長(70)の妻が、富田氏の自宅(札幌市南区)敷地内に参院選で民主党への投票を呼びかけるポスターを掲示していたことが9日、分かった。公職選挙法には抵触しないが、市民からの苦情もあり、同日までにポスターは撤去された。
 市選管によると、ポスターは民主党が政治活動用として総務省に届け出たもの。選管委員は公職選挙法で選挙運動が禁止されているが、今回のポスター掲示は選挙運動には当たらないという。
 ただ、市民からの苦情を受けた市選管が、富田氏に「誤解を招く」として撤去を申し入れていた。富田氏は「妻の政治活動であり問題はないが、選管に迷惑を掛けるので撤去してもらった」と話している。富田氏は元民主党市議。

京都市選管の委員長宅に民主ポスター 住民指摘受け撤去
朝日新聞(2010/7/10)
 京都市選挙管理委員会の山口幸秀委員長(74)=京都市山科区=の自宅外壁に、参院選で民主党への投票を呼びかけるポスターが張られていたことがわかった。市選管は、選管委員の選挙運動を禁じた公職選挙法には抵触しないとしているが、「選挙の公平を訴える選管委員長の立場では好ましくない」と指摘。山口氏は「軽率だった」として、ポスターを撤去した。
 市選管事務局などによると、ポスターは「比例区は民主党」などと書かれ、公示日の6月24日に張られた。今月5日、市民から選管に「政治活動用のポスターが張られている。いいのか」と指摘があり、発覚したという。
 山口氏は取材に対し、「私が留守の間に、妻が民主党の運動員から頼まれた。反省している。これを機に公平な選挙に努めたい」と話した。
 山口氏は民主党の元京都市議。2007年まで7期務め、副議長などを歴任。今年6月、選管委員長に就任した。

 札幌市と京都市で、相次いで選挙管理員会委員長の自宅に民主党の選挙ポスターが貼られてことが問題化しました。
 札幌市選挙管理委員会の委員長は、富田新一氏。もと民主党(社会党)の市議会議員で、平成19年12月から委員長に就任しています。京都市選挙管理委員会の山口幸秀委員長も、民主党の元京都市議。平成19年まで7期議員を務め、副議長などを歴任しました。今年6月、選管委員長に就任しています。
 今回の選管責任宅に民主党のポスターが貼られていた案件には、2つの問題が潜んでいると思います。
 その第1は、民主党議員(正確にはそのOB)の倫理観です。確かに、選管の委員長が政治活動を行ってはいけないという法的な規制はありません。二人が掲示したポスターは、多分、参院選用の証紙が張られたポスターではないため、公職選挙法には抵触しません。しかし、選挙の公平性を担保する選管の委員長が一党に偏した政治活動を行うことへの、倫理的な罪悪感はなかったのでしょうか?(京都の案件で、ポスターは「比例区は民主党」などと書かれ、公示日の6月24日に張られた。と報道されていますが、政治活動用のポスターなら公示以降に掲示すること自体、公選法に抵触すると思うのですが…)
 二人とも、「不在時に妻が貼った」と、直接自らの関与を否定していますが、気がついた時点で撤去すればよいことですので、言い訳にもなりません。
 第2のポイントは、議員OBが選挙管理委員会の要職に“天下り”して良いのかという問題です。一部の自治体では、議会の長老が選挙管理委員に付くことが慣例化されていると聞き及んでいます。
札幌市選挙管理委員会委員名簿
委員長富田 新一元民主党議員
委員長職務代理者高橋 忠明元自民党議員
委員大西 利夫元民主党議員
委員上戸 正則 

京都市選挙管理委員会委員名簿
委員長山口 幸秀元民主党議員
委員長職務代理者淺田 實 
委員國枝 克一郎元自民党議員
委員小森 正彦 

 行政委員である選挙管理員会委員には、月額20万円以上の報酬が支給されます。(ちなみに札幌市は一ヶ月23万7000円です)
 選挙管理委員会の責任者に、かつて議員だったものが選ばれる仕組みこそ、私は問題だと思います。