参考写真 参院選で民主党政権は、10カ月間の政権運営の迷走に対する国民の厳しい審判を受けて大敗しました。その結果、与党が参院で過半数を割り込み、国会は衆院で与党が、参院で野党がそれぞれ多数を占める「ねじれ」状態となりました。
 与党の参院での議席数は110で過半数=122に12足りません。衆院で法案を通過させても、参院で野党がそろって反対すれば法案は否決されます。
 衆院と参院で議決が異なった場合、憲法では、予算案や条約の承認について衆院の議決が優越するとしていますが、一般の法案を成立させるには、再び衆院で出席議員の3分の2以上の多数によって「再可決」することが必要です。
 自民、公明両党による連立政権でも2007年の参院選後から「ねじれ」状態になりました。当時の与党は衆院で3分の2以上を持っていたので、民主党が日銀総裁の同意人事などで政局至上主義とも言える徹底抗戦をしてきても、重要法案は衆院での再可決によって成立させることができました。
 これに対して民主党政権は、与党が衆院で定数480の3分の2(320)に当たる議席を持っていません(欠員2と議長を除いた477議席の3分の2は318議席)。これでは「再可決」ができず、与党は野党の協力がなければ法案が通らない「真性ねじれ」に直面しています。
 このため、菅直人首相は野党に対して「政策的な協議を行い、国会運営でも、できるだけ合意形成を図る」と協力を呼び掛ける考えを示しています。
 しかし、通常国会終盤での菅政権の横暴な国会運営を猛省し、与野党合意を尊重するのは当たり前の話であり、政策面でも「昨年の民主党政権公約のバラマキ政策を大胆に見直し、野党に協力を求めることが肝要」(読売新聞)と厳しく指摘されています。
 公明党の参議院の議席は19議席です。一方、第三極といわれているみんなの党は11議席。その他、共産党が6、社民が4、たちあがれ日本3、改革2などとなっています。たとえ、みんなの党が与党についたとしても、過半数に達せず、参議院公明党の立場が非常に重要であり、真のキャスティングボードを握ったと言えます。
 なお、こうした状況の中で、一部で公明党が民主党との連携に向かうのではないか
との憶測を語るものがいますが、公明党の山口那津男代表は言下に否定しています。
 7月11日夜、NHKテレビの生中継に出演し、「(参院選での与党過半数割れについて)民主党はマニフェストが実行できておらず、途中で断念・修正するという迷走ぶり。『政治とカネ』、普天間の問題もきちんとした解決に結びつかず、争点を隠した。消費税でも菅政権がぶれていることによる国民の厳しい審判だ」との考えを示しました。さらに、民主党との連携については「レッドカード(退場)を突き付けた結果として過半数割れになったわけで、連携するとか連立を組む考えは持っていない」と明確に述べています。