参考写真 7月22日、公明党の山口那津男代表は、7月30日に召集予定の臨時国会に、議員歳費(月額129万7000円)および文書通信交通滞在費(月額100万円)などを日割りで支給するための「国会議員歳費法改正案」を提出する方針を表明しました。
 山口代表は、現行月割りで支給されている議員歳費の日割り支給について、公明党がマニフェストに明記するなど繰り返し主張し、地方議員の報酬も同様の条例改正を推進してきたことに触れ、「国民感情からすれば国会が例外である理由はない。働いた分に応じて国民の税金を使うということを基本にすべきだ」と強調しました。
 また、22日午後に行われた記者会見で山口代表は、日割り支給による歳出削減の見込み額について、昨年8月30日投票の衆院選を例に挙げ、当選した衆院議員の同月分の歳費が2日(30、31日)分のみとなれば、6億円程度が削減されたとの試算を示すとともに、「(日割り支給の対象に)文書通信交通滞在費や(公設)秘書給与、正副議長の加算分なども含めるとさらに増える」との考えを示しました。
 国会議員の歳費の日割り支給に関しては、みんなの党も法案の提出を検討しています。山口代表は、みんなの党から説明があったことも踏まえ、「方向性は同じだから、(法案の一本化などは)よく意見を交わしながら検討したい」と述べました。
 国の財政危機が叫ばれる中、「隗より改めよ」国会議員自身の国民目線での判断が期待されます。
 その金額の高さが度々問題視される国会議員の歳費問題。この国会議員の歳費は、63年前の昭和22年4月30日に制定された、「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」(歳費法)によって規定されています。
 歳費法の第2条から第5条で、新任・退職ともに日割りでなく当月分支給を支給されることが、明記されています。
第1条  各議院の議長は217万5000円を、副議長は158万8000円を、議員は129万7000円を、それぞれ歳費月額として受ける。
第3条  議員は、その任期が開始する当月分から歳費を受ける。ただし、再選挙又は補欠選挙により議員となつた者は、その選挙の行われた当月分から、更正決定又は繰上補充により当選人と定められた議員は、その当選の確定した当月分からこれを受ける。
第4条  議長、副議長及び議員が、任期満限、辞職、退職、除名の場合又は死亡した場合には、その当月分までの歳費を受ける。

 また、国民にあまり知られておらず理解できない規定は第9条の文書通信交通滞在費100万円の支給です。その、使途の報告義務もなく、所得税などの税金もかかりません。
第9条  各議院の議長、副議長及び議員は、公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため、文書通信交通滞在費として月額100万円を受ける。
2  前項の文書通信交通滞在費については、その支給を受ける金額を標準として、租税その他の公課を課することができない。

 また、歳費法の第12条の2は、国会議員が死亡した場合、歳費の16ヶ月分の弔慰金が遺族に支払われることになっています。現在の水準で試算すると議長で3480万円、副議長で2540万円、議員で2075万円という高額になります。さらに、職務に関連して死亡の場合、第12条の3で特別弔慰金として4ヶ月分プラスとなり、議長で870万円、副議長で635万円、議員で518万円が更に上乗せされます。
 公務員でも、地方議員でも、このような特権はありません。この弔慰金についても、見直しする必要があるのではないでしょうか。
第12条  議長、副議長及び議員が死亡したときは、歳費月額16月分に相当する金額を弔慰金としてその遺族に支給する。
第12条の2  議長、副議長及び議員がその職務に関連して死亡した場合(次条の規定による補償を受ける場合を除く。)には、前条の規定による弔慰金のほか、歳費月額4月分に相当する金額を特別弔慰金としてその遺族に支給する。

 最後に、国会議員の歳費の額がどのように決められているかをみてみると、不思議な法律に出会います。それは、国会法第35条。曰く『議員は、一般職の国家公務員の最高の給料額より少くない歳費を受ける』(下線は管理者による)。言い換えれば「国会議員の給料が上がらなければ官僚の給料も上がらない。官僚の給料が上がれば、自動的に国会議員の歳費も引き上げられる」仕組みが規定されているのです。
国会法・第35条 議員は、一般職の国家公務員の最高の給与額(地域手当等の手当を除く。)より少なくない歳費を受ける。

参考:国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律(歳費法)
参考:国会法