概算要求基準の仕組み見せかけの政治主導、実態は“財務省主導”
平成23年度予算編成は着地点が見えないまま漂流し始めています。政府は7月27日、23年度予算概算要求基準(シーリング)を閣議決定しましたが、民主党が主張する予算の抜本見直しには「ほど遠い」のが実情です。
シーリングとは、もともと「天井」の意味で、予算の膨張を避けるため、各省庁が要求する予算の上限を示したものです。22年度予算をめぐっては鳩山前政権が概算要求基準を廃止し、バラマキ政策に走った“前科”があります。
これに懲りてか、菅政権は概算要求基準を復活させ、財政規律を重視する姿勢を強調したかったようですが、バラマキ公約をどこまで削ることができるのか定かではありません。
今回の概算要求基準の目玉は、公約した政策に予算を重点配分するための「元気な日本復活特別枠」の設置です。しかし、その額は「1兆円を相当程度超える」と実にあいまいです。その財源は社会保障費などを除く政策的経費(約24兆円)を各省一律1割削減(前年度比)して充てるとしていますが、閣僚からの反発は強く、実現には疑問符が付いたままです。
さらに致命的なのは、1割削減だけで公約実現のための財源をひねり出すのは極めて困難な点です。仮に1割削減で2.4兆円を捻出できたとしても、それを社会保障費の自然増分(約1.3兆円)に充てれば、残りはわずか1兆円程度。22年度も子ども手当や農家の戸別所得補償の増額など公約実現に向けた歳出圧力は強いだけに、「上限のない特別枠が『青天井』となって予算規模が膨張する恐れもある」と、7月28日付読売新聞は指摘しています。
歳出の大枠(国債費を除く歳出の上限)を71兆円以下、新規国債発行額を22年度当初予算の44兆円を上回らないとした予算編成の枠組みが崩壊する恐れは否定できません。
菅政権は特別枠の予算配分を公開で行う「政策コンテスト」を導入するなど、政治主導の演出に躍起ですが、池田元久財務副大臣は「形の上で政治主導を見せた」などと“本音”を漏らす醜態ぶり。最後は財務省頼みで予算編成に決着をつけるしかないようです。

シーリングとは、もともと「天井」の意味で、予算の膨張を避けるため、各省庁が要求する予算の上限を示したものです。22年度予算をめぐっては鳩山前政権が概算要求基準を廃止し、バラマキ政策に走った“前科”があります。
これに懲りてか、菅政権は概算要求基準を復活させ、財政規律を重視する姿勢を強調したかったようですが、バラマキ公約をどこまで削ることができるのか定かではありません。
今回の概算要求基準の目玉は、公約した政策に予算を重点配分するための「元気な日本復活特別枠」の設置です。しかし、その額は「1兆円を相当程度超える」と実にあいまいです。その財源は社会保障費などを除く政策的経費(約24兆円)を各省一律1割削減(前年度比)して充てるとしていますが、閣僚からの反発は強く、実現には疑問符が付いたままです。
さらに致命的なのは、1割削減だけで公約実現のための財源をひねり出すのは極めて困難な点です。仮に1割削減で2.4兆円を捻出できたとしても、それを社会保障費の自然増分(約1.3兆円)に充てれば、残りはわずか1兆円程度。22年度も子ども手当や農家の戸別所得補償の増額など公約実現に向けた歳出圧力は強いだけに、「上限のない特別枠が『青天井』となって予算規模が膨張する恐れもある」と、7月28日付読売新聞は指摘しています。
歳出の大枠(国債費を除く歳出の上限)を71兆円以下、新規国債発行額を22年度当初予算の44兆円を上回らないとした予算編成の枠組みが崩壊する恐れは否定できません。
菅政権は特別枠の予算配分を公開で行う「政策コンテスト」を導入するなど、政治主導の演出に躍起ですが、池田元久財務副大臣は「形の上で政治主導を見せた」などと“本音”を漏らす醜態ぶり。最後は財務省頼みで予算編成に決着をつけるしかないようです。