川西市立東谷小学校耐化工事 この夏、様々な方々から地域経済の現状をお聞きする機会がありました。その皆さんが口を揃えて語ったことは「もう限界だ。これ以上、公共事業など公的な経済活性化策が実施されなければ、地方経済は行き詰まる」というものでした。
 民主党政権が初めて手掛けた2010年度予算案で、公共事業費は前年度比18.3%(1兆2970億円)減と過去最大の削減幅となりました。総額が6兆円を下回るのは1978年度以来の出来事です。
 「コンクリートから人へ」を掲げる民主党政権の意向が顕著に表れた格好でしが、スローガンを訴える威勢の良さとは裏腹に、現実は地方経済へ深刻な影響を与えています。
 人口減少や経済危機で市場の縮小を強いられる地方経済や、それを支える中小企業の状況は、ただでさえ厳しいものがあります。これに加え、“頼みの綱”である公共事業を大幅削減するのは、まさに、傷口に塩を塗るようなもの。地方経済や中小企業にとっては死活問題に他なりません。
 経済全体に悪影響が及ぶ恐れも否定できません。2010年4〜6月期実質GDPは前期比プラス0.1%と市場予想のプラス0.66%を大幅に下回わりました。名目ではマイナス0.9%と大幅に落ち込んでいます。地方の自律的な経済成長が実現できていないために、為替や外需だよりの脆弱な経済情勢が続いているからです。
 言葉を換えれば、昨年、自公政権が講じた経済対策が、ここにきて弾切れになっており、民主党政権の無策により、日本経済は全体としても危険水域に達していると言わざるを得ません。経済対策の効果が薄れる中、公共事業の大幅削減は、成長率の下押し要因とねりつつあります。
 確かに、公共事業に過度に依存した体質の改善は必要です。とはいえ、「ムダ」の一声で削減だけが先行する考えには賛同できません。公共事業の削減とともに、それに代わる地域の産業が何かを示すことが必要です。
 にもかかわらず、民主党政権からは、そうしたビジョンがまったく見えません。これでは、地方経済は冷え込むばかりです。
 民主党政権の方針通り、家計支援が手厚くなったとしても、肝心の仕事が減ってしまえば、力強い日本経済の構築など“夢物語”に過ぎないのです。
 したがって、政府は当面の景気回復のための経済対策を、積極的に打つべきです。特に地方経済の振興は国の景気対策として欠かせません。そのためには、政府が地方振興策及び地方の雇用拡充を重要な施策として取り組み、必要な公共投資を積極的に行うことで、景気対策を速やかに実行すべきです。
 公共施設の耐震化や、近年多発している「ゲリラ豪雨」などの災害対策は、必要な公共事業として潜在的需要が高いと考えます。
 このように、必要な公共投資は着実に推進すべきであり、地方経済が活性化する効果も大いに見込めます。
 政府においては、地方の雇用拡充と内需振興を図る景気対策のために、真に必要とされる「21世紀型の公共投資」について、予算確保と執行を強く求めるものです。
必要とされる21世紀型の公共投資
  1. 学校など公共施設の耐震化に積極的に取り組み、雇用の拡充と地方経済の活性化を図ること。
  2. 太陽光発電の設置や、介護施設の拡充といった21世紀型の公共投資を着実に促進し、内需の振興を図ること。
  3. 老朽化した施設(橋梁、トンネル、上下水道管など)の計画的な更新・大規模修繕を積極的に推進し、地域生活の安全と地方振興に取り組むこと。